CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー アジア・パシフィック(本社:東京都港区、略称:J.D. パワー、代表取締役社長:鈴木 郁)は10日、2016年日本ホテル宿泊客満足度調査の結果を発表した。同社の発表内容は以下の通り。
◆帝国ホテル1位の要因はスタッフの高い対応品質◆
2006年の本調査開始以降、初めて帝国ホテルが1泊35,000円以上の部門で満足度第1位となった。
帝国ホテルが総合満足度第1位となった要因は、客室やホテル施設といったハード面の高い評価に加え、チェックイン・チェックアウト時を始めとした、スタッフの対応品質が他チェーンを大きく上回っていることがあげられる。滞在中に接したスタッフから「細やかな気遣いがあった」「大切な顧客として接してくれた」「いつも笑顔での挨拶があった」といった対応を受けた宿泊客の割合は帝国ホテルが最も多い。また、チェックイン・チェックアウトの評価は過去5年一貫して部門上位であり、宿泊客が滞在中に接するスタッフの評価も恒常的に高い。
ホテル到着からチェックアウトまでに接するスタッフの対応品質の高さは、ホテルの宿泊価格帯に関わらず滞在経験の満足度と大きく関係している。満足度上位グループと下位グループの「チェックイン・チェックアウト」の評価並びに「滞在中に接したスタッフ」の評価について過去5年間のデータを分析したところ、高価格帯のみならず全ての価格帯のホテルで上位ブランドが下位ブランドの評価を大きく上回っている。1泊9,000円未満部門でもフロントスタッフ以外の朝食スタッフや客室清掃スタッフ、支配人などと宿泊客が接する割合は平均で68%と少なくない。この部門でも満足度上位ブランドは宿泊客があらゆるスタッフと接する際の対応品質は下位ブランドを大きく上回っており、スタッフが宿泊客に対し気遣いを示していることが伺える。
昨今、全国的にホテル開発が進められており今後も新規開業ホテルが相次ぐ中24時間稼働するホテルで働く従業員を確保していくことは容易ではないと言われている。また外国人旅行者の記録的増加も続き、スタッフは外国語対応も必要であるなど高いスキルが求められている。宿泊客の満足度を維持、向上するためには客室や施設のメンテナンス、改装、清掃などによるハード面の品質維持はもちろん重要であり、それに加え、ホテルのグレードや規模、スタッフの人数に関わらず、いかに一人一人のスタッフが宿泊客に目を配り、気遣いを示していくことが出来るかといったスタッフへの継続的な品質強化も重要な鍵となる。
◆各部門の第1位は帝国ホテル、星野リゾート リゾナーレ、リッチモンドホテル、ベッセルホテルズ、スーパーホテル◆
各部門における総合満足度ランキングは次のとおりとなった。
<1泊35,000円以上部門>
ランキング対象となった11ホテルブランドのうち、帝国ホテルが773ポイントで初の第1位となった。帝国ホテルは、「チェックイン/チェックアウト」「ホテル施設」「料金」「ホテルサービス」「予約」において当部門トップの評価となった。第2位はザ・リッツ・カールトン(764ポイント)で、「客室」「F&B」において当部門トップの評価を得た。第3位は、星のや(737ポイント)であった。
<1泊15,000円~35,000円未満部門>
ランキング対象となった26ホテルブランドのうち、星野リゾート リゾナーレが722ポイントで、第1位となった。星野リゾート リゾナーレは「チェックイン/チェックアウト」「客室」「F&B」で当部門のトップ評価となった。第2位はヒルトンホテル(710ポイント)で「ホテル施設」で当部門トップの評価を得た。第3位はホテル日航(709ポイント)であった。「料金」で当部門トップの評価であった。
<1泊9,000円~15,000円未満部門>
ランキング対象となった15ホテルブランドのうち、リッチモンドホテルとベッセルホテルズが686ポイントで同率1位となった。リッチモンドホテルは2年連続で第1位となっており、「チェックイン/チェックアウト」「客室」「ホテルサービス」「予約」において当部門のトップ評価となった。ベッセルホテルズは「料金」において当部門のトップ評価となった。第3位は京急EXイン(672ポイント)であった。
<1泊9,000円未満部門>
ランキング対象となった18ホテルブランドのうち、スーパーホテルが662ポイントで3年連続第1位となった。スーパーホテルは「チェックイン/チェックアウト」「客室」「ホテル施設」「料金」「ホテルサービス」「予約」において当部門のトップ評価となった。第2位は、ホテル法華クラブ(639ポイント)で、「朝食」で当部門トップの評価であった。第3位はコンフォート(634ポイント)であった。
当調査は、日本全国のホテルグループ・チェーン151ブランドを対象に、宿泊者のホテルでの経験やサービスに対する満足度を調べるもので、全国の18歳以上の男女を対象にしている。11回目となる今年の調査は、直近1年間に宿泊したホテルについて2016年8月にインターネット調査にて実施し、27,112人から回答を得た。
当調査では、ホテルの提示する正規宿泊料金や客室面積をもとに「1泊35,000円以上」「1泊15,000円~35,000円未満」「1泊9,000円~15,000円未満」「1泊9,000円未満」の4つの部門に分け、それぞれにおける宿泊客満足度を測定している。その内容は次の通り。
・1泊35,000円以上部門:正規料金の最多価格帯35,000円以上
・1泊15,000円~35,000円未満部門:正規料金の最多価格帯15,000円以上35,000円未満
・1泊9,000円~15,000円未満部門:正規料金の最多価格帯9,000円以上15,000円未満
もしくは最多価格帯が9,000円未満かつ最多客室面積が15m2以上
・1泊9,000円未満部門:正規料金の最多価格帯9,000円未満かつ最多客室面積が15m2未満
宿泊客満足度の測定にあたっては、「予約」(*1)「チェックイン/チェックアウト」「客室」「F&B(料飲)」(*2)「ホテルサービス」(*3)「ホテル施設」「料金」(*4)の7つのファクター(要素)を設定し評価を得ている。各ファクターにおける複数の詳細項目に関する宿泊客の評価をもとに、総合満足度スコアを算出した(1,000ポイント満点)。
(*1)予約:電話及びウェブサイトを通じホテルもしくはホテルグループ・チェーンに直接行った予約の評価
(*2)F&B:「1泊9,000円未満」部門では、レストラン・バー・ラウンジ施設を附帯しないホテルブランドを考慮し「朝食」として提供される料理や施設全体の評価を採用
(*3)ホテルサービス:レジャー/フィットネス施設、スパ、ビジネスセンター等、附帯施設やサービス全体の評価
(*4)料金:客室料金、通話料金、F&B料金など滞在中に費やした費用全体の評価