1月の訪日外客は前年比4%減、減少率縮小傾向に


 今年1月の訪日外客数は、前年同月比4.1%減の68万5千人となった。日本政府観光局(JNTO)が17日に推計値として発表した。前年同月に対する減少率は、東日本大震災の発生後初めて1ケタ台に縮小した。1月としては過去3番目の客数。東アジアの旧正月の休暇時期の変動が増加の大きな要因ではあるが、中国、台湾、香港を中心に需要が回復した。ただ、韓国は依然として30%台の減少率で回復が遅れている。

 前年同月比の減少率は、震災発生直後の昨年4月に62.5%減に達したが、少しずつ縮小し、10〜12月の各月は10%台の減少となっていた。

 1月の客数としては2011年1月の71万4千人、08年1月の71万1千人に次ぐ実績。ビジット・ジャパン事業の重点15市場では、中国、台湾、香港、タイ、マレーシアが1月として過去最高を記録した。

 中国は39.6%増の13万8400人。旧正月の休暇時期の変動は、11年が2月2〜8日だったのに対し、12年が1月22〜28日だった。官民を挙げたビジット・ジャパン事業の宣伝が効果を上げたとみられるほか、震災に伴う訪日旅行商品の低価格化が客数増加にプラスに働いた。

 東アジアでは旧正月の休暇時期の変動などで、台湾が29.6%増の12万5900人、香港が40.9%増の4万8500人と大幅に伸びた。

 韓国は35.4%減の17万3400人だった。減少率は9月以降、5カ月連続で30%台と回復が進まない。1月17日には観光庁の溝畑宏長官が訪韓し記者会見で訪日旅行をアピールするなどしたが、放射能汚染への不安、ウォン安円高の影響が大きいとみられている。

 北米、欧州は、米国が6.2%減の4万8500人、カナダが0.5%増の1万900人、英国が4.7%減の1万2700人、フランスが17.5%減の7700人など。豪州は放射能汚染への不安が払しょくできず、27.7%減の2万2200人と下げ幅が大きい。

 観光庁の溝畑長官は、17日の定例会見で「本格回復のレベルではないが、全体としては引き続き予想を上回るペースで回復している」と指摘。低迷が続く韓国市場に関しては、「九州、関西、北海道など目的地によっては回復してきた地域もあるようだ。訪日旅行への潜在的な需要は根強く、継続的に需要喚起に取り組みたい」と述べた。

 
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