1~3月期訪日外国人 旅行支出20万円超えも親族訪問や留学が影響


 観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査の1次速報の結果、2023年1~3月期の訪日外国人1人当たりのクルーズ客を除く旅行支出(旅行消費額単価)は、コロナ前の19年同期に比べて43.8%増の21万1957円と推計された。政府が3月末に決定した観光立国推進基本計画では、25年までに20万円とする目標が掲げられたが、この指標を上回る数値になった。ただし、旅行支出の増加は、コロナ禍に伴って親族・知人訪問や留学などの中長期滞在者の動向が全体に大きく影響したことが主な要因で、観光庁では目標の達成状況は評価できないとしている。

観光庁 計画達成状況は評価できず

 観光立国推進基本計画では、訪日外国人旅行者の旅行支出を19年実績の15万8531円から約25%増加させ、25年までに20万円に引き上げる目標を設置している。

 目標値との関係について観光庁の榎本通也・観光政策特別研究交渉官は「今期の調査結果は、観光が回復に向かう過渡的な段階であり、中長期滞在者の押し上げ要因が依然存続するなど、2019年の状況とは大きく異なる。したがって今期の統計数値をもって観光立国推進基本計画の達成状況は評価できないと認識している」と説明した。

 旅行支出を押し上げた要因の一つは、1年未満の滞在ではあるが、調査対象となる親族・知人訪問、留学など中長期滞在者の影響。親族・知人訪問は、19年1~3月期には旅行者全体の4.3%だったが、22年10~12月期(試算値)に8.3%に上昇し、23年1~3月期も6.5%と依然高い割合だった。留学は19年1~3月期には全体の0.6%だったが、23年1~3月期には2.7%を占めた。特に23年1~3月期の留学は滞在、支出ともに高い数値で、169.2泊、107万9326円となった。

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