10月の訪日外客、台湾、香港はプラスに


 10月の訪日外客数は、前年同月比15.3%減の61万5800人だった。日本政府観光局(JNTO)が18日、推計値として発表した。東日本大震災の発生から半年余りが過ぎ、前年同月に対する下げ幅は1割台にまで縮小した。震災後初めて台湾、香港がプラスに転じ、中国も前年並みに回復した。米国や英国も下げ幅が縮まっている。一方、訪日外客数でトップの構成比を占める韓国は、円高の影響も受けて依然3割減だった。

 震災後の前年同月に対する下げ幅は、3月12〜31日が73.0%減、4月が62.5%減、5月が50.4%減、6月と7月が36.1%減、8月が31.9%減、9月が24.9%減で推移。今年1〜10月の累計では、前年同期比30.5%減の509万5400人となった。

 台湾の10月は、前年同月比2・6%増の10万8400人。震災で縮小していた航空定期便が以前の状態に戻り、チャーター便の運航も再開された。JNTOは「復興支援で台湾のイメージが向上し、日本人の訪台旅行需要が高まったことも航空座席の供給増につながった」と指摘した。

 台湾でのツアー販売は、東北以外を目的地とする商品は前年並みの水準に戻ったとみられる。関西圏への個人旅行が堅調だが、首都圏への客足は依然として鈍いという。

 中国は増減なしの10万6200人、香港は16.7%増の3万5500人に回復。しかし、前年同月の数値は、昨年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件による客数の落ち込みを考慮する必要がある。

 中国、香港からの訪日にプラス材料も多い。中国からは日本へのクルーズ船が再開され、10月には「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」号が2本、「コスタクラシカ」号が5本が、九州、沖縄、大阪に寄港した。香港では、北海道、沖縄、関西を中心に回復傾向にあり、7月後半から再開された東北ツアーも継続的に販売されている。

 韓国は31.7%減の13万2300人で、9月に続いて3割減となった。原発事故に伴う食の不安が払しょくされていないことに加え、今年9月には30カ月ぶりに1円が14ウォン台となり、以降も円高ウォン安の影響を大きく受けた。プラス材料としては、ソウル市の高校により震災後初の100人規模の訪日修学旅行が九州で実施された。

 このほかアジアでは、洪水被害が深刻化したタイが29.9%減の1万9500人、シンガポールは原発事故の影響と円高の進行を受けて34.6%減の8800人だった。

 欧米では、米国が11.2%減の5万8600人、英国が9.2%減の1万6800人と商用客を中心に回復が進んだとみられるが、フランスは31.8%減の1万1300人、ドイツは31.4%減の1万500人と回復が鈍く、原発事故への不安が根強いとみられる。

出国日本人数は5%増の151万人 4ヵ月連続の増
 10月の出国日本人数は、前年同月比5.1%増の151万人だった。今年7月以来、連続で増加している。タイの洪水被害などが影響したが、円高の進行などが海外旅行にはプラス要因だった。今年1〜10月累計では前年同期比0.7%増の1403万5千人になった。

 
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