日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した今年10月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比16・8%増の213万6千人となった。10月として過去最高。月間としては今年7月の229万7千人に次ぐ過去2番目の実績だった。アジア市場の訪日需要が堅調なほか、欧米豪の市場が2割以上の伸び率を示した。1月からの累計では、年間として初めて2千万人を超え、10月末までで2011万3千人に達した。
政府のビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点市場別に10月の動向を見ると、ロシアを除く19市場が10月として過去最高。このうちカナダとドイツは、月間の最高値を記録した。
中国は13・6%増の50万6200人。国慶節休暇の曜日配列が良く、訪日需要が拡大。クルーズは好調だが、台風18号でキャンセルが発生した。香港は19・3%増の15万4千人。プロモーションの効果で紅葉観賞の訪日需要が増加したほか、旅行商品では立山黒部や関西が人気だったという。
韓国は21・2%増の44万9600人。LCC(格安航空会社)を含む航空座席供給量の増加などがプラス要因。台湾は3・2%増の35万4500人。伸び率が1桁にとどまった要因としてJNTOは、円高傾向や、台湾と東南アジア各地を結ぶLCCの就航などが影響した可能性を指摘した。
東南アジアでは、タイが14・3%増の9万8300人。プミポン国王の死去の影響に関してJNTOは「訪日旅行への影響も一部見られたが、予約済みの案件の変更は限定的」と説明。ただ、訪日旅行プロモーションは、喪に服すタイ国民に配慮して実施するようにしている。
マレーシアは28・8%増の3万6700人、シンガポールは18・6%増の2万9900人。両市場ともにオンライン・トラベル・エージェント(OTA)と連携したプロモーションが訪日需要の増加に結び付いた。
欧米豪では、米国が24・2%増の11万9500人、豪州が27・3%増の3万7700人、フランスが25・7%増の3万人など。いずれも訪日旅行プロモーションなどが奏功。欧米豪の重点市場が訪日客全体占める割合は、前年同月比1・0ポイント増の14・1%となった。
1月からの累計では、9月までに昨年の年間値を上回った中国に続き、韓国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、米国、フランス、スペインの8市場が10月までの累計で昨年の年間値を超えた。
一方、JNTOが発表した今年10月の出国日本人数(推計値)は、前年同月比3・2%増の145万8千人だった。前年同月比で5カ月連続の増加となった。1~10月累計では、前年同期比4・8%増の1417万7千人となった。