アウトレットという米国育ちの新業態が日本に上陸したのは93年のこと。出口や“はけ口”を意味するアウトレットに当初は疑心暗鬼だった日本の消費者が、そのイメージを一変させたのが、2000年にできた御殿場プレミアム・アウトレットである。アメリカのどこかの街区を歩いているかのような非日常感。目の前に迫る富士山を借景に、世界のスーパーブランドが軒を連ね、旅気分で楽しむことができる。
平成不況のデフレ局面が消費者心理を後押しして、アウトレットは一気に開花した。すでに米国では飽和状態を迎え、ノウハウも成熟したところでの日本上陸だった。
マスメディアからの注目度も高く、朝の情報番組ではテレビ局からたびたび出演依頼をいただいた。どうやって商品を選べばよいのか、“お得”という言葉がはやった時期でもあった。
等身大の気さくさが人気のRIKACOさんや、アイドルグループ・NEWSのマッスーこと増田貴久さん、まちゃみの愛称で知られる久本雅美さん、アナウンサーでは今やゴルフの世界大会で欠かせない存在の小笠原亘さんも、番組内で筆者が案内させていただいた一人だ。これもひとえに、プレミアム・アウトレットの広報担当で三菱地所・サイモンの佐竹香里さんのおかげである。
三井不動産グループの三井アウトレットパークも攻勢を強めていた。商社系や地元企業などもしのぎを削り、最盛期には日本全国45を数えるほどに市場が拡大したのである。
会員向け記事です。