昨年は2月だった中華圏の春節が今年は1月だったこと、政治情勢に絡む韓国の訪日旅行控えも減少要因ではあるが、新型コロナウイルス感染症の国内外での発生が大きく影響した。2月の減少率は、東日本大震災発生後の11年4月に記録した62.5%減に次ぐ水準となった。
中国は87.9%減の8万7200人。新型コロナウイルスに伴い中国政府が1月27日から海外への団体旅行やパッケージ旅行の販売を禁止した。旅行商品の販売禁止に伴い航空路線、クルーズの運休も相次いだ。
韓国は79.9%減の14万3900人、台湾は44.9%減の22万400人、香港は35.5%減の11万5600人。このうち台湾は、2月22日に日本への渡航警戒レベルが引き上げられ、訪日旅行のキャンセルなどが拡大した。
日本への渡航に関する警戒情報が2月中に引き上げられたタイ、シンガポールはそれぞれに減少した。タイは9.1%減の9万8千人、シンガポールは24.9%減の1万9600人。マレーシアも27.4%減の2万6600人となった。
新型コロナウイルスの流行に伴う訪日旅行控えは欧米などの市場にも及んだ。米国が20.8%減の7万3400人、英国が21.0%減の1万8600人、ドイツが18.6%減の1万900人などとなった。
一方でインドネシア、フィリピン、ベトナム、豪州、ロシアの訪日旅行者数は前年同月を上回り、2月として過去最高を記録した。
20年3月の訪日外国人旅行者数については、新型コロナウイルス感染症の水際対策に伴う日本政府による一部の国・地域からの入国者を対象にした検疫待機要請、査証(ビザ)の効力停止措置や、欧米各国での新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて大幅な減少が見込まれている。