矢野経済研究所(東京都中野区、水越孝社長)は12月16日、「国内インバウンド市場に関する調査」結果を発表した。2020年の訪日外国人客数は15年の約1・9倍、3679万人と予測、政府が目標とする4千万人には届かない見通しを示した。
調査は百貨店、ブランド企業、その他小売業などを対象に、16年1~9月に実施。同研究所がいうインバウンド市場は、日本国内で訪日外客(ビジネス目的も含む)が主に物品を購入した規模をさす。「観光庁が発表しているデータとは異なり、研究所独自の推計値」としている。
3679万人は、国内の経済・市場の環境がある程度継続するとの前提で、特に中国をはじめとするアジアからの客が順調に拡大すると想定して弾き出した。ちなみに17年は2822万人、18年3086万人、19年3248万人と予測する。
また、市場規模(物品購入、宿泊費や交通費は含まず)については、15年は前年比83・9%増の1兆4849億円と試算。16年は中国での関税取り締まり強化などで1兆3088億円と縮小するものの、17年以降は再び拡大に向かい、20年は1兆8764億円になるとした。「為替相場や株価、各国の経済情勢によっては2兆円の大台に乗る可能性もある」と見ている。
都道府県別の市場規模では、東京が6077億円となり「日本におけるインバウンド市場規模全体の40・9%を占める」とした。次いで大阪府の1800億円、千葉県の1148億円の順。千葉については東京ディズニーランドの集客力と3カ所あるアウトレットモールの販売力、さらに成田空港での消費力の強さが数字となって表れている。外客に人気の高い京都府は791億円で、北海道の1103億円に及ばなかった。