日本政策金融公庫はこのほど、2020年の中小企業の景況見通しに関する調査を行った。2020年の業況判断DI(前年比で改善の企業割合から悪化の企業割合を引いた値)は前年比14.0ポイント増のマイナス4.1と、マイナス水準ながら19年から改善の見通しだ。業況改善に向けて期待する要素は「海外景気の回復による外需の増加」が最も多く挙がっている。
調査は19年11月中旬、三大都市圏の同公庫取引先900社に実施。このうち534社から有効回答を得た。
まず、19年の業況判断を聞くと、改善が15.9%、横ばいが50.1%、悪化が34.0%。改善から悪化を引いたDIがマイナス18.1だった。
一方、20年の業況判断見通しは、改善が19.1%、横ばいが57.7%、悪化が23.2%。改善から悪化を引いたDIがマイナス4.1だった。
20年のDIを6の需要分野別に見ると、食生活関連が25.0、電機・電子関連が21.7と、それぞれプラス水準になっている。ほかの設備投資関連(マイナス7.1)、建設関連(マイナス13.8)、乗用車関連(マイナス16.4)、衣生活関連(マイナス32.3)はマイナス水準にとどまる。
前年との比較では、食生活関連と電機・電子関連が前年のマイナス水準からプラス水準に転換。建設関連が前年のプラス水準からマイナス水準に転落。ほかの3分野はマイナス幅が縮小した。
20年の業況改善に向けて期待する要素は「海外景気の回復による外需の増加」が22.8%とトップ。「2020年予定の東京五輪に伴う需要の発生」が17.2%と続く。
以下は、「株高や所得の増加による消費マインドの改善」(13.6%)、「政府・地方公共団体等による各種政策・予算の執行」(12.6%)など。
経営上の不安要素は(三つまでの複数回答)、「国内の消費低迷、販売不振」(73.6%)、「人材の不足、育成難」(59.7%)、「原材料価格、燃料コストの高騰」(38.8%)などが挙がっている。