コロナ禍で国内も海外も需要大幅減
政府は10日、2022年版「観光白書」を公表した。21年の観光動向については、長引くコロナ禍で前年をさらに下回る統計値が並んだ。訪日外国人旅行者数は、観光目的の入国がなく、実質ゼロの状態。日本人の国内旅行者数は、2年連続でコロナ前の半分程度。国の観光支援策Go Toトラベル事業は停止のままで、日本人1人当たりの観光旅行の年間宿泊数は1.0泊に落ち込んだ。国内外の旅行者の減少で、旅行消費の総額は19年の3分の1程度だった。
日本の観光の動向について観光白書は、「20年からインバウンド需要はほぼ蒸発し、度重なる緊急事態宣言などによる行動制限に伴い国内旅行も大きく減少するなど、観光関連産業に甚大な影響を与えている。21年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催されたが、引き続き水際対策の徹底に加え、移動の制限や旅行控えの動きが生じたことなどで需要が大幅に減少するなど、非常に厳しい状態が続いている」と記述した。
■国際観光
21年の訪日外国人旅行者数は年間を通して水際対策の影響を受け、25万人にとどまった。20年の412万人を下回ったほか、過去最高の3188万人を記録した19年に比べて99.2%減だった。訪日外国人旅行者の消費額は、四半期ごとの調査が縮小されたため、試算値として1208億円と算出。19年の4兆8135億円に対し、97.5%減だった。
国際会議は、コロナ禍の影響で世界的に延期や中止、オンラインへの代替が進んだが、21年にはオンラインと実地を組み合わせるハイブリッド開催が増えた。国際的な団体、ICCA(国際会議協会)の調査によると、一定の規模を満たす国際会議の日本における21年の開催件数は、実地3件、ハイブリッド61件、オンライン185件の計249件。延期、中止などが115件だった。
また、日本人の海外旅行者数である出国日本人数は21年が51万人で、20年の317万人を下回り、過去最高だった19年の2008万人に比べて97.4%減だった。
■国内観光
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