
542トンのコンクリート資材、100%日本国内で再活用へ
株式会社ネスタリゾート神戸は4月14日、2025年大阪・関西万博の「ルクセンブルクパビリオン」で使用される基礎コンクリートブロックを万博終了後に100%リユースする取り組みを開始すると発表した。同社は2025大阪万博ルクセンブルク経済利益団体(GIE)、株式会社船場と連携し、約542トンに及ぶコンクリートブロックを神戸市のテーマパーク内に再利用する計画だ。
この取り組みを記念し、4月13日にはルクセンブルクパビリオンにおいて、ルクセンブルク大公国副首相兼外務・対外通商相グザヴィエ・ベッテル大臣の臨席のもと調印式が行われた。式典にはルクセンブルクパビリオンコミッショナー・ジェネラルのアンドレ・ハンゼン氏、ネスタリゾート神戸代表取締役の田中淳氏、船場代表取締役の小田切潤氏らが参加した。
ルクセンブルクパビリオン コミッショナー・ジェネラル アンドレ・ハンゼン⽒(中央)
2025 ⼤阪万博ルクセンブルク経済利益団体(GIE) 事務局長 タチアナ・コニエチュニー氏(左)
株式会社ネスタリゾート神戸 代表取締役 田中淳氏(右)
本プロジェクトは、万博のサブテーマである「いのちをつなぐ」を体現する取り組みだ。ルクセンブルクパビリオンは「サーキュラー・バイ・デザイン」の考え方に基づき、解体を見据えた設計が当初から行われている。日本国内では通常、コンクリートブロックは破砕処理されて再生骨材とするダウンサイクルが一般的だが、今回は最大226個(1個約2.4トン)のコンクリートブロックを形状を保ったままリユースする新たな試みとなる。
地中に埋められている基礎コンクリートブロック(約2.4t/個) 写真提供:株式会社内藤ハウス
循環型経済の実証実験としての意義
本取り組みでは、3者が明確な役割分担を行う。ルクセンブルク経済利益団体はコンクリートブロック全個数の譲渡、ネスタリゾート神戸は園内環境整備としての再利用、船場はリユース戦略の立案実行を担当する。万博会場から距離の近いネスタリゾート神戸で活用することで、輸送時のCO2排出削減にも貢献する。
「この取り組みは、日本国内での建材リユースの可能性について『気づきと共感』のムーブを起こし、持続可能な社会への貢献を目指します」と関係者は語る。ルクセンブルクパビリオンのテーマ「Doki Doki – ときめくルクセンブルク」は、アウトドアアクティビティを中心とするネスタリゾート神戸の「ドキドキ」体験と共通点がある。
ルクセンブルクパビリオンからネスタリゾート神戸へのリユース計画
ルクセンブルク大公国副首相のベッテル大臣は「サーキュラー・エコノミーの分野におけるルクセンブルクの知見を示すパイロット・プロジェクトであり、ネスタリゾート神戸という信頼できる日本のパートナーと共にこのビジョンを現実のものとできることを大変嬉しく思う」とコメント。ネスタリゾート神戸の田中代表取締役も「親近感のある2つのコミュニティでの協働は必ずゲスト体験価値の向上や、サステナビリティ意識の向上を実現できると信じている」と期待を寄せた。
ルクセンブルクパビリオンは膜屋根を持つ鉄骨構造で、万博終了後も建材の一部を日本国内で再利用する計画だ。今回の取り組みは、日本とルクセンブルク大公国の新たな協力関係の象徴となり、循環型社会の実現に向けた具体的なモデルケースとして注目されている。大阪・関西万博は2025年4月13日から10月13日まで開催される。