
ブッキングドットコム、2025年GW旅行トレンド予測を発表 「温泉」に注目
ブッキング・ドットコム・ジャパンは4月16日、「2025年GW旅行トレンド予測発表会」を開催した。インバウンド旅行者の増加と温泉地への関心の高まりを発表。温泉のスペシャリストによるパネルディスカッションも実施し、ベストシーズンである春夏の温泉旅行の魅力を伝えた。
インバウンド、主要都市から地方へ
ブッキング・ドットコム日本・東日本統括部長の信濃伸明氏が発表したGW旅行トレンド予測によると、インバウンド旅行者の検索データでは東京・大阪・福岡の主要3都市への関心が前年比50%増加。同時に那覇、箱根、広島、神戸、高山などの地方都市への関心も高まっているという。
国別では台湾、韓国、米国、中国、オーストラリアからの旅行者が高いシェアを占め、特にイタリアからの検索数が顕著な伸びを示している。一方、日本人旅行者の傾向も主要都市への関心が高く、特に大阪では家族との旅行ニーズが増加。主要都市以外では札幌、広島、那覇、金沢、仙台、箱根、熱海などが人気を集めている。
信濃氏は「世界の旅行者の60%が長寿への没入型リトリート旅を求めており、短期的なリフレッシュだけでなく、長期的かつ持続的な心身の改善を重視する傾向が強まっている」と説明。この世界的なトレンドを日本に置き換えた場合、特に注目すべきは「温泉地」と「温泉旅館」であるとし、閑散期における温泉地のビジネスチャンスを指摘した。
また、同社が開発した「AIトリッププランナー」についても紹介。「静かに家族と過ごせる日本の温泉宿を探したい」という要望に対し、裏草津、由布、鹿児島などの地域をAIが提案するなど、これまで知られていなかった「隠れた温泉地」への誘客に貢献できるとした。
温泉医学の専門家が効果を解説
温泉医学の第一人者であり医学博士の早坂 信哉先生
パネルディスカッションでは、温泉医学の第一人者である早坂信哉氏(東京都市大学教授、医学博士、温泉療法専門医)が温泉の健康効果について語った。早坂氏によると、「毎日湯船に浸かる人は、要介護状態になるリスクが29%減、うつ病リスクが24%減、認知症の発症リスクも26%減少する」というデータがあるという。
また、環境省が実施している「新・湯治」効果測定調査プロジェクトのデータによれば、温泉利用後「癒された」「リフレッシュできた」と9割以上が回答し、「より幸せになった」「疲労回復」「ストレス改善」と8割以上が回答したことを紹介。早坂氏は「春から夏は、温泉地が空いている点や、露天風呂に入る際の気候的にも非常におすすめの時期」と強調した。
パネルディスカッションにはほかに、秘湯探検家の渡辺裕美氏、箱根・きのくにや旅館の川邉剛氏、別府・シーサイドホテル美松大江亭支配人の松野明希子氏が参加。渡辺氏は「春夏こそ本当の没入ができる温泉がある」と高地のぬる湯や炭酸泉、雪解け後にようやく訪れることができる山奥の秘湯などを紹介した。
また、川邉氏は実際の宿泊客の体験を通して温泉の効果を紹介。「普段は睡眠薬がないと眠れない30代の女性客が、3連泊中は薬なしでぐっすり眠れた」という事例や、「春夏温泉の魅力は、湯そのものだけでなく、色や音などが相まってストレスが解消される」と語った。
松野氏は「温泉のある生活では指先までしっかり温まっていたが、引っ越して普通のお風呂に変えてから、爪の伸びが遅くなったとネイリストに指摘された」という体験を共有。「温泉には美容や健康面でのメリットがあり、定期的に入ることが大切」と述べた。
登壇者全員が「春夏こそ、温泉のベストシーズン」であることを強調。早坂氏は「春から初夏は自律神経が疲れやすい季節で、心身を休めるには最適な時期」とし、温度差や環境変化に伴う季節性の不調を防ぐ手段として温泉の活用を推奨した。
登壇者の集合写真