
鳥取県は20日、ヨルダン政府観光局との間で「砂の体験」を通じた国際観光交流を促進する「サンドアライアンス(砂連携)」協定を締結した。両地域の強みである砂丘資源を活かした観光コンテンツを相互に発信し、訪日外国人観光客の誘致拡大を図る。砂丘観光の新たな可能性を開拓する国際連携の第一歩。
砂連携協定書を掲げる両代表
星空体験や砂工芸など独自の魅力を相互PR
今回の連携協定では、両地域の砂丘における滞在型観光体験を中心に、相互送客の促進と共同プロモーションの展開を進める。鳥取砂丘では「砂の美術館」や「星空観賞ツアー」、ヨルダンのワディラム砂漠では「砂絵ボトルアート」や「砂漠キャンプ体験」など、それぞれ特色ある砂丘コンテンツが注目されている。
砂漠での星空観光
「鳥取砂丘とワディラム砂漠では、砂の質感や地形は異なるが、どちらも壮大な自然景観と砂を活かした独自の体験プログラムが魅力だ」と県観光交流局の担当者は語る。特に、砂漠に設置された天体ドームでの星空鑑賞は、ヨルダン側の目玉コンテンツとなっている。夜空に広がる満天の星と砂丘のコントラストは、訪れる観光客に非日常的な体験を提供する。
ドーム型施設での星空観賞
一方、鳥取県側では「砂の美術館」をはじめとする芸術文化施設の拡充に力を入れている。館内に設置された「無限鏡の間」では、砂の造形美が鏡面に無限に映り込む幻想的な空間演出が人気を集めている。また、砂丘を活用したアクティビティの開発も進めており、サンドボード体験や砂丘ヨガなど、自然環境と調和した体験プログラムのラインナップを充実させた。
無限の間
今回の連携は、2025年大阪・関西万博の開催を見据えた取り組みでもある。協定締結式には両国の観光関係者が参加し、「砂という共通の資源を活かした国際観光の振興は、サステナブルツーリズムの好例となる」との認識で一致した。
平井知事
また、ヨルダン側は伝統工芸品である砂絵ボトルアートの技術提供も表明。カラフルな砂を使った芸術作品の制作体験を鳥取県内でも展開することで、文化交流を深める予定だ。「砂の芸術は国境を越えて人々をつなぐ架け橋になる」とヨルダン観光局の代表は期待を寄せる。
色鮮やかな砂絵ボトルアート
鳥取県は今後、ヨルダンからの観光客受け入れ体制の整備を本格化させる。多言語案内の充実や砂丘周辺の宿泊施設と連携したイスラム圏向けのハラル対応なども進める考えだ。来年度からは相互の観光情報を発信するウェブサイトを開設し、両地域の砂丘観光に関する専用ポータルとして運用を開始する予定。
砂連携プロジェクトのキックオフイベントとして、今年夏には鳥取砂丘でヨルダンの砂絵アーティストを招いたワークショップも開催される。詳細は県観光交流局のウェブサイトで順次公開される。