2019年3月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比5.8%増の276万人となり、3月として過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)がこのほど発表した推計値。個人旅行の訪日需要が高い中国、桜鑑賞の旅行が人気の東南アジアなどが好調で、欧米もおおむね堅調だったが、韓国、香港などは前年同月の実績を下回った。
政府の重点20市場では、韓国、香港、フィリピン、豪州、スペインを除く15市場で3月の最高値を更新。このうち米国、カナダ、英国、ドイツ、インドは1カ月当たりで過去最高を記録した。
東アジアでは、中国が16.2%増の69万1300人。個人観光ビザ(査証)の要件緩和、航空座席供給量の増加で2桁の伸びを示した。
台湾は3.9%増の40万2400人。地方への新規就航やチャーター便就航に加え、4連休があったことで前年同月の実績を上回った。
他方で韓国は5.4%減の58万5600人。訪日旅行へのマイナス要因についてJNTOは「韓国経済の低迷」「韓中関係の改善による中国への渡航需要の回復」「ベトナムの人気など海外渡航先の多様化」などを挙げた。
香港は12.4%減の17万1400人と2桁減。中国行きの低価格ツアーの人気、イースター休暇の変動などが影響したとみられている。
東南アジアでは、タイが26.8%増の14万7400人。航空路線の拡充に加え、北海道などのプロモーションで日本の露出が増えたことが奏功した。他の市場は桜シーズンの旅行需要などが好調で、ベトナムが35.9%増の4万7900人、マレーシアが6.2%増の5万600人、シンガポールが14.7%増の4万3700人。
アジア以外では、クルーズ旅行の需要が加わった米国が17.0%増の17万6600人、カナダが8.9%増の3万8千人。フランスは、桜シーズンの需要の高まりなどで16.1%増の2万9400人だった。一方で豪州は、イースター休暇の変動などで6.9%減の4万4200人だった。
また、JNTOが発表した19年3月の出国日本人数(推計値)は前年同月比6.8%増の193万人。1~3月累計では前年同期比6.4%増の491万7千人となった。