新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受け、2020年3月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比93.0%減の19万4千人に落ち込んだ。日本政府観光局(JNTO)が15日に発表した推計値。感染拡大の防止策として日本を含む世界各国が出入国を制限し、航空路線が縮小、人的な往来が減少したことが要因。前年同月比の下げ幅は、東日本大震災後の11年4月に記録した58.3%減を超えた。
新型コロナウイルスの訪日旅行への影響が3月に入って拡大した。1月は中華圏の春節休暇があり、前年同月比1.1%減の266万1千人だったが、中国政府による海外団体旅行などの禁止措置、各国の日本渡航の警戒レベル上昇などで2月は同58.3%減の108万5千人。3月には欧米などでも流行が深刻化、世界保健機関が11日に「世界的な流行」を宣言し、訪日旅行は激減した。
日本政府は、3月9日に香港、マカオを含む中国、韓国からの入国に対し検疫強化、査証(ビザ)の効力停止を開始するなど、水際対策を段階的に強化した。3月は政府の訪日旅行の重点20市場全てで旅行者数が大幅に減少し、東アジア(4市場)で97.6%減、東南アジア・インド(7市場)で86.3%減、欧米豪(9市場)で82.7%減となった。
東アジアは、最大の訪日市場の中国が98.5%減の1万400人に減少したほか、韓国が97.1%減の1万6700人、香港が94.2%減の9900人、台湾が98.1%減の7700人。
東南アジアも各国の日本渡航制限や、日本政府が3月28日に開始したビザの効力停止などの影響を受けた。タイが96.7%減の4800人、シンガポールが88.3%減の5100人、フィリピンが77.4%減の1万900人などだった。
欧州は、英国、フランス、ドイツなどに対して日本政府が3月21日からビザ効力停止などの措置を適用した。英国が82.4%減の6800人となったほか、3月27日から原則入国拒否の対象となったフランスは73.8%減の7700人、ドイツは77.3%減の6500人。米国は3月19日以降、海外への渡航中止勧告が出されたほか、3月26日からは日本政府が検疫強化を開始したことなどで、87.0%減の2万3千人となった。