
韓国、台湾は2桁の減少率
2019年4月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比0.9%増の292万7千人となり、1カ月の実績として過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が21日に発表した推計値。前年は3月末からだったイースター休暇が今年は4月後半だったことなどで欧米豪が好調。半面、10連休となった日本のゴールデンウイーク(GW)に伴う航空券、宿泊の価格高騰、手配の難しさによる旅行控えなどで、アジアの一部は前年同月の実績を下回り、韓国、台湾は減少率が2桁となった。
これまでの1カ月当たりの最高値だった18年4月の290万1千人を上回った。1カ月当たりの最高値を記録した市場は、タイ、フィリピン、ベトナム、インド、カナダ、英国、フランス、イタリア、ロシア。4月として過去最高だったのは、中国、豪州、米国、ドイツ、スペイン。
好調な市場がある一方で、韓国は11.3%減の56万6600人だった。日本のGWの影響に加えて、韓国経済の低迷、中国への渡航需要の回復やベトナム旅行の人気といった海外渡航先の多様化などがマイナスの要因とみられている。
台湾も14.2%減の40万3500人。チャーター便を含む地方への航空路線の就航などはプラス要因だったが、日本のGWの影響、清明節休暇の連休が前年より短かったことなどで大幅な減少となった。
中国は、日本のGWに伴う訪日旅行商品の価格高騰が一部に見られたが、旺盛な訪日需要、航空座席供給量の増加などで6.3%増の72万6100人。香港はイースター休暇の時期の移動などもあり、8.3%増の19万4800人となった。
イースター休暇の時期の移動、訪日クルーズ船の寄港などがプラス要因となった米国、豪州、英国、ドイツなどは2桁の伸び率。米国は15.8%増の17万200人、豪州は22.8%増の7万500人、英国は23.0%増の4万4500人、ドイツは25.7%増の2万7800人だった。
東南アジアでは、タイが航空路線の拡充や訪日プロモーションの効果などで10.9%増の16万4800人となった。他方で日本のGWの影響などがあったシンガポールは2.4%減の3万6700人、マレーシアは6.3%減の4万6100人。インドネシアは、大統領選挙前で旅行需要が抑えられ、7.7%減の3万9800人だった。
2019年1~4月累計の訪日外国人旅行者数は、前年同期比4.4%増の1098万1千人となった。政府の訪日促進の重点20市場では、中国の10.2%増(累計289万5千人)、米国の15.0%増(同54万3千人)をはじめ17市場が前年同期を上回っているが、韓国は4.4%減(同264万7千人)、台湾は1.0%減(同159万3千人)、香港は2.1%減(同70万人)と下回っている。