2009年5月の訪日外客数(推計値)は、世界的な景気低迷や円高といった減少要因に加え、新型インフルエンザが日本国内で発生し、訪日旅行のキャンセルが相次いだため、前年同月比34.0%減の48万6100人に落ち込んだ。24日、日本政府観光局(JNTO)が発表した。韓国と台湾の訪日客はほぼ5割減と低迷が続き、堅調に推移してきた中国も2割減とマイナスに転じた。 訪日外客数は、世界的な景気後退が始まった昨年8月以降、10カ月連続の減少。昨年11月以降は2ケタ減が続いている。09年1〜5月累計では、前年同期比26.9%減の267万人だった。
韓国は48.5%減の11万7900人。新型インフルエンザによる日本での混乱は、韓国でも報道され、訪日旅行のキャンセルが増加。キャンセルの対象は当初は関西地区だったが、その後は全国に広がった。一方、円に対する韓国ウォンの為替レートは2月下旬に底を打ち、持ち直してはいるが、依然、前年同月より3割安いままだ。
台湾は47.9%減の7万300人。「マスクをした人の姿などが盛んに報道された。日本全体が危険であるというイメージが広まった」(JNTO)など、新型インフルエンザが大きく影響した。
中国は18.8%減の6万600人。旧正月の月の移動で前年同月の実績を割った2月以来、3カ月ぶりのマイナス。新型インフルエンザの影響についてJNTOは、03年に中国で流行したSARS(急性重症呼吸器症候群)を中国国民が連想したことなどで旅行意欲が減退したと指摘する。
このほかアジアの重点市場では、香港が28.9%減の2万7800人、タイが30.6%減の1万4100人、シンガポールが40.8%減の9300人だった。また、豪州も26.9%減と落ち込みが大きく、1万2000人にとどまった。
欧米は米国が15.2%減の5万8600人、カナダが6.2%減の1万2200人、英国が16.9%減の1万3300人、ドイツが14.7%減の9100人と軒並みマイナスだが、フランスはわずかに前年同月を上回り、1.1%増の1万3千人。フランスでは、日本のポップカルチャーや食文化への関心が高い。