帝国データバンクが企業を対象に行った今年5月の景気動向調査によると、同月の景気動向指数(景気DI = 0〜100、50が判断の分かれ目)は43.8で、前月比1.5ポイント減少した。DIの悪化は2カ月連続。個人消費への不安が依然払しょくされないことや、原油価格の再高騰の影響もあり、企業の生産活動が一服、幅広い業界・地域で景況感が悪化した。企業の規模別では、大企業と中小企業の景況感格差が過去最高となった。
DIが44を割るのは05年6月の43.0以来、1年11カ月ぶり。
業界別では、建設が37.7で、前月比0.7ポイント減。公共事業費の削減や脱談合の加速による業界への影響が表面化。地場建設会社の倒産が頻発した。
製造は45.2で同1.8ポイント減。原油価格が再び騰勢を強めていることや、素材価格の高止まりなどにより、中小企業を中心に、設備投資に一服感が台頭した。
運輸・倉庫は44.9で同2.4ポイント減。悪化幅は10業界中、最大となった。ガソリン価格の上昇が影響した。
企業の規模別では、大企業が47.4で、前月比1.3ポイント減。中小企業が42.8で、同1.5ポイント減。中小企業は今年1月の43.9を大幅に下回る、今年最低水準となった。これにより規模間格差は4.6ポイントとなり、同社が調査を始めた02年5月以降、05年5月と06年6月の4.5ポイントを抜いて過去最高となった。
地域別では06年6月以来、11カ月ぶりに10地域すべてで前月比悪化した。
南関東は47.6で、同1.1ポイント減。悪化幅が大きい東海と並び、10地域中の最高水準となった。
最高水準の南関東、東海と最低水準の北海道の景況感格差は14.1ポイントとなり、前月から0.4ポイント拡大。引き続き高水準での推移が続いている。
今後の先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後ともに大きく後退。国内経済の先行き不透明感が再び増幅し始めている。
調査は全国企業2万747社に実施。有効回答数は9856社で、回答率47.5%。