今年5月の訪日外客数は、前年同月比15.3%増の189万4千人となった。日本政府観光局(JNTO)が15日に推計値として発表した。中国や東南アジア、欧米からの訪日が好調で、5月としては過去最高を記録した。ただ、旅行先として九州への訪問者数が多い韓国に関しては、熊本地震の影響で前年同月の実績を下回った。1月からの累計では、6月5日に1千万人を突破した。
ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点市場では、韓国、ロシアを除く18市場が5月としての過去最高を記録。このうちインドは月間の最高値を更新した。
5月を市場別に見ると、韓国は4.2%減の30万2100人。熊本地震の影響を受けて2014年6月以来のマイナスとなった。5月も九州行き商品の募集を中止していた旅行会社がある。航空路線も九州便の運休、減便が実施されたが、JNTOは「6月以降、順次復便する予定で、訪日需要の早期回復が望まれる」と期待している。
韓国市場、九州のインバウンド回復について観光庁の田村明比古長官は、15日の専門紙向け会見で「韓国は、熊本地震の影響が大きく、23カ月ぶりにマイナスに転じた。夏や秋の紅葉など多客期向けの早急な対応が必要。『九州の観光復興に向けての総合支援プログラム』に盛り込まれた施策を確実に推進していく」と述べた。
他方で中国は31.0%増の50万7200人。熊本地震の影響が懸念されたが、堅調な動きで訪日市場への影響は軽微とみられている。昨年のピーク時を上回るクルーズ需要があったほか、航空座席の供給量拡大、個人旅行の増加がプラス要因だった。
他の東アジアや東南アジアでは、台湾が10.5%増の37万5500人、香港が16.1%増の14万人、タイが4.8%増の8万4900人、フィリピンが32.5%増の3万6900人、マレーシアが41.9%増の3万6600人などだった。
欧米豪も、訪日プロモーションの効果などで、ロシアを除き2桁の増加。米国が21.5%増の11万2千人、豪州が20.0%増の2万9800人、英国が20.7%増の2万4千人、フランスが14.2%増の2万3200人などだった。
今年1〜5月累計の訪日外客数は、前年同期比29.1%増の972万8200人となった。