6月の訪日外客は36%減、原発事故への懸念残る


 6月の訪日外客数は、東日本大震災の影響を引き続き受けて、前年同月比36.0%減の43万3100人となった。日本政府観光局(JNTO)が14日に発表した。震災発生後の減少率は徐々に縮小しているが、原発事故への懸念などで本格的な回復には至っていない。主要市場の東アジアでは、韓国、中国、香港が依然として約4割減。台湾は下げ幅が縮小して約2割減だった。

 前年同月に比べて24万4千人の減少だったが、新型インフルエンザや円高などの影響を受けて落ち込んだ2009年6月の実績(42万4427人)に比べると8700人ほど多かった。

 震災以降の減少率は、3月12〜31日の期間が前年同期比73%減で、4月が前年同月比62.5%減、5月が同50.4%減と推移。各国の渡航自粛勧告の緩和などに伴い、4月以降、訪日団体ツアーが再開されたが、依然として放射能への警戒感は根強いとみられる。

 JNTOによると、各国の旅行会社の集客状況は「震災発生前のように好調ではない」としながらも、集客のため、ツアー料金を割安販売し需要を下支えしているという。韓国では九州、関西、北陸などへの旅行商品が通常の半額程度に低迷している。

 東アジアの減少率の動きをみると、韓国は5月が58.3%減だったが、6月は42.0%減に。中国は5月が47.3%減だったが、6月も40.7%減。香港は5月が71.6%減、6月が40.0%減。いずれも縮小しているが、4割減の状態。台湾は5月が40.4%減だったのに対し、6月が23.0%減と比較的回復が早い。

 東アジアの国際観光の情勢では、6月28日に中国人の台湾への個人旅行が解禁され、中台間の直行便が増えたことで、両地域の観光交流のさらなる活性化が予想されている。

 このほかの市場の6月の前年同月比の減少率は、米国が29.4%減、英国が29.6%減、豪州が41.9%減、シンガポールが49.6%減などだった。

 訪日外客数全体の今年1〜6月の累計は、前年同期比32.6%減の283万3100人となった。

出国日本人数は 3%減の127万人
 6月の出国日本人数は、前年同月比2.9%減の127万4千人だった。3月以降、4カ月連続の減少だった。震災に伴う旅行意欲の萎縮や被災地の旅行需要の減退が続いている。

 1〜6月累計では前年同期比3.4%減の763万9千人だった。

 
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