帝国データバンクはこのほど、全国企業の景気動向調査の今年7月調査分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.3ポイント増の37.9で、3カ月ぶりに改善した。復興需要の拡大で、東北地方で過去最高を更新したほか、建設などの業界で回復を持続した。ただ、「国内景気は復興需要頼みの傾向を強めており、踊り場局面が続く」(帝国データ)状況だ。
調査は全国企業2万3099社に実施。このうち1万637社から回答を得た。
DIを10の地域別にみると、東北、東海など7地域が改善し、近畿、中国、四国の3地域が悪化した。
東北は前月比1.6ポイント増の44.9。3カ月ぶりに改善し、過去最高を更新。11カ月連続で全国10地域の最高となった。
復興需要の拡大で、域内の建設業が同2.4ポイント増、53.5と、2カ月連続で改善。過去最高を更新した。これまで全国水準以上を続けた製造業、小売業も大きく改善した。
県別では、宮城県が同1.6ポイント増の54.5。47都道府県中で、12カ月連続でトップを維持するとともに、8カ月連続で唯一の50ポイント台となった。福島県は同0.5ポイント増の46.4で、全国2位。岩手県は同2.1ポイント増の45.6で、同4位。被災地域が上位を占める傾向が続いている。
さらに、日本海側の山形県が同3.0ポイント増の39.3(全国10位)、秋田県が同2.5ポイント増の37.7(同16位)と、復興需要が東北全体を底上げする傾向が表れた。
10の業界別では、サービス、建設、小売など7業界が改善し、製造が前月並み、農・林・水産、金融の2業界が悪化した。
サービスは前月比0.1ポイント増の42.0。10業界中で最も高い値。このうち旅館・ホテルは同0.7ポイント増の42.4。2カ月連続で改善した。
建設は同1.0ポイント増の37.2。復興需要で宮城や福島で大きく改善した。ただ、復興需要のない西日本では回復の遅れが続いた。
小売は同0.2ポイント増の38.3。2カ月ぶりに改善したが、「消費マインドの伸び悩みで需要に力強さがなく、今年春先の水準にとどまっている」。
製造は前月と同水準の37.0。復興需要の本格化で東日本を中心に底上げされ、猛暑予想による関連製品の生産拡大も好材料となった。ただ、内需が弱く、外需も停滞していることから、全体として生産や出荷活動に回復がみられなかった。