8月の訪日外客は前年比64%増、過去最高を記録


 日本政府観光局(JNTO)が9月16日に発表した8月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比63.8%増の181万7千人となった。8月として過去最高で、月間では過去2番目の実績だった。1〜8月の累計は前年同期比49.1%増の1287万5千人だが、速報では9月10日に昨年の年間値1341万人を突破した。

 8月を市場別に見ると、中国は133.1%増の59万1500人で、すべての市場を通じた月間の最高値を記録した。円安に伴うショッピング観光や夏休みの家族旅行が好調。航空路線の新規就航、クルーズ船の寄港(50隻)などで訪日客数が増加した。

 韓国は55.5%増の39万1千人で月間の過去最高を記録。MERS(中東呼吸器症候群)による旅行控えの反動もあり、パッケージツアー、個人旅行ともに夏季休暇の旅行需要が増加。北海道へのチャーター便が多数運航された。

 台湾は36.6%増の31万3900人。31カ月連続で各月の過去最高を更新した。訪日旅行需要の高まりをLCC(格安航空会社)を中心とした路線の拡充、クルーズ船の寄港が支えた。

 香港は88.8%増の14万1500人。香港ドラゴン航空が12年ぶりに広島線を再開したほか、大手旅行会社が長崎へのチャーター便6便を運航した。ビジットジャパン(VJ)事業では、夏の旅行シーズンを前に四国をPRするプロモーションを集中的に展開した。

 米国は20.4%増の7万6900人で8月として過去最高だった。JNTOによると、アジア諸国への渡航割合で日本は最大シェアを占めている。燃油サーチャージの段階的な引き上げもプラス要因となった。

 一方でタイは6.6%増の3万1300人で8月として過去最高ではあったが、伸び率は大幅に鈍化した。閑散期であることやタイ経済の停滞に加え、バンコクで発生したテロの影響によって出控えもあった。

 欧州では、フランスが20.9%増の2万1200人、英国が29.7%増の2万500人で、ともに8月として過去最高を記録した。円安基調の継続を背景に、VJ事業のプロモーションが成果を上げていると見られる。

 1〜8月累計では、中国が117.0%増の334万7千人で、前月までに昨年の年間値を上回っているほか、香港が68.9%増の99万1800人となり、昨年の年間値を突破した。

 9月は、韓国の秋夕(旧盆休暇)、マレーシアの祝日やスクールホリデー、インドの祝日、ベトナムの国慶記念日など、アジア地域で連休、祝日が多く、訪日客数の増加が期待できる。また、10月には中国で国慶節があることから、JNTOでは引き続きプロモーションを推進して訪日需要を喚起していく。

 
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