9月の訪日外客数は前年同月比34.0%増の71万8千人となり、9月として初めて70万人を突破、過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が10月25日に発表した。ビジット・ジャパン・キャンペーンの重点15市場ではインド以外で前年同月の実績を上回った。このうち中国が過去最高を記録しており、尖閣諸島沖の漁船衝突事件の影響は9月の時点では大きくは現れなかった。
中国は39.3%増の13万8千人。連休となる中秋節(旧盆)の休暇が昨年は10月だったが、今年は9月にあたり、ビジット・ジャパン事業の広告宣伝の効果もあって旅行需要が増加した。
一方で9月7日には尖閣諸島沖で漁船衝突事件が発生し、中国からの公務旅行やインセンティブ旅行にキャンセルの動きが出た。観光旅行に関しては予約・支払い済みの旅行者が多く、キャンセルなどの影響は限定的だった。
市場別で最も構成比の大きい韓国は83.7%増の19万4千人。9月として過去最高の07年の20万1千人に次ぐ実績だった。国内景気の回復のほか、昨年は10月初旬だった秋夕(旧盆)休暇が今年は9月21〜23日だったことなどがプラスに作用した。
台湾は32.7%増の10万3千人。インセンティブ旅行として6千人規模の大型ツアーと複数の数百人規模のツアーが実施された。しかし、「日台間の航空座席の供給量は昨年より依然少ない状態」(JNTO)。中国からの台湾旅行の需要拡大などで日本向けチャーター便の機材繰りも難しくなっているという。
この他、米国が8.2%増の5万7千人、香港が3.2%増の3万4千人、豪州が24.8%増の2万4千人などだった。