2019年9月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比5.2%増の227万3千人となった。日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した推計値。日韓関係の悪化に伴い韓国は58.1%減と大幅に落ち込んだ。一方でラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開催によって欧州などからの訪日客が増加した。中国や東南アジアも好調だった。
前年の18年9月は台風に伴う関西空港の一時閉鎖、北海道胆振東部地震の発生で訪日客が減少したため、比較には反動増を考慮する必要がある。19年9月の訪日外国人旅行者数は、18年9月の216万人を約11万人上回ったが、9月の最高値を記録した17年9月の228万人にはわずかに届かなかった。
19年9月の訪日客数を国・地域別に見ると、伸び率には反動増が含まれるものの、政府の訪日促進の重点市場20カ国・地域のうち、韓国、香港を除く18カ国・地域が9月として過去最高を記録した。このうち英国は年間を通じた月間としての最高値を記録した。
韓国は58.1%減の20万1200人となった。訪日旅行を控える動きが持続しているほか、日韓航空路線の運休や減便などが影響した。7月の7.6%減、8月の48.0%減から下げ幅が拡大し、3カ月連続で前年同月の実績を下回った。
9月20日に開幕したラグビーW杯の出場国では、日本を除く17カ国(イングランド、スコットランド、ウェールズは英国として集計)の訪日客数が36.2%増の34万7200人となった。
出場国の内訳では、英国が84.4%増で月間最高の4万9600人を記録した。フランスは31.6%増の2万6500人、豪州は24.4%増の6万500人、カナダが23.4%増の2万8500人と好調だった。
出場国のうち政府が訪日促進の重点市場に含めていない国でも、ニュージーランドが62.0%増の1万1300人、アイルランドが418.3%増の9200人、南アフリカが404.2%増の4200人などと大幅に増えた。
ラグビーW杯に伴う訪日客の増加について観光庁の田端浩長官は、「チケット発売分の約3割が外国の方で、期間中に約50万人の方が観戦に訪れると想定されている。日本を知ってもらうチャンスだ。日本の印象をSNS、報道などで世界に発信してもらい、今後、日本に来ていただくきっかけになれば」と述べた。
ラグビーW杯の出場国以外では、中国が25.5%増の81万9100人と好調だった。中国は9月の訪日外国人旅行者数全体の36.0%を占めた。前年の関空閉鎖などの反動増はあるものの、航空路線の拡充、個人観光査証の発給要件緩和などで5月以降、伸び率は2桁が続いている。
台湾は14.3%増の37万6200人。伸び率には反動増があるが、地方への航空路線の新規就航、増便などで9月として過去最高を記録した。香港は23.6%増の15万5900人。現地での大規模デモなどが訪日旅行需要にも影響しているが、反動増などで高い伸び率となった。
東南アジアは、タイが14.1%増の6万2100人、ベトナムが30.9%増の3万8300人、フィリピンが52.5%増の3万7800人、シンガポールが24.5%増の2万9100人などと好調だった。