日本旅行業協会(JATA)関東支部のインバウンド委員会は13日、東京都庁で若手実務者向けのインバウンドセミナーを開催した。3年ぶり、9回目。約80人が出席した。都観光部との共催。
冒頭あいさつした石原栄二関東支部長は、水際対策の緩和や個人旅行の解禁が伝えられる中、「インバウンドに明るい兆しが見える」とし、「インバウンド(受け入れ)の準備をするタイミングだ」との認識を示した。
都観光部は観光産業振興実行プラン「PRIME観光都市・東京」の取り組みを紹介。
観光産業の復活とサステナブル・リカバリーの実現を基本理念に、「観光産業の活性化」など三つの戦略と、「東京ならではの観光資源の磨き上げと新たな観光スタイルの浸透」など七つの施策、さらにMICE誘致の推進を展開している。
目指すべき将来像として、東京を訪れる国内旅行者6億人、外国人旅行者3千万人超、国際会議開催件数世界3位以内―を掲げている。
「新たな訪日インバウンド戦略の構築に向けて」と題して講演した帝京大観光経営学科の吉村久夫教授は、コロナ禍で需要が消滅したいまが「訪日インバウンド戦略を再構築する最大の機会であり、最高のタイミング」と捉えた。
戦略策定に当たっては「複数のシナリオを持つ」「単なる数値目標ではなく、達成状況を想定した『見える化』を図る」「柔軟に修正できる前提で考える」と指摘。
その上で、戦略の考え方として(1)人数拡大目標からの転換(2)訪日インバウンドという単一マーケットはない(3)自然や政治・経済、病気などに大きく影響されるが、そうしたことは必ず再び起こり、そのたびに影響を受けるという前提に立つ(4)特定の市場に過度に頼りすぎない―の4点を挙げた。
講演する帝京大の吉村教授