【観国之光 395】混乱する旅行支援 制度設計に不備はないか 本社論説委員 内井高弘


旅行支援でにぎわいが戻りつつある観光スポット(群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むら)

 10月11日から始まった政府の観光促進事業「全国旅行支援」により人の動きが活発化、観光地はにぎわいを取り戻しつつある。東京を除く46の道府県は12月下旬まで、東京都は12月20日まで実施される予定だ。

 新型コロナ禍で大きなダメージを受けた観光業界は「反転攻勢のきっかけになる」と期待した。それなりの効果が出ている半面、使い勝手が悪く、事業者だけでなく一般の利用者からも不満の声が少なくない。

 開始早々予約が殺到、補助金額の上限に達し予約停止が相次ぐという問題が生じ、サイトコントローラーのシステム障害も起こった。便乗値上げの問題も浮上し、国土交通相が「慎むように」と発言する事態も。宿泊事業者は「制度、手続きが複雑すぎて…。問い合わせにも満足にこたえられない。人手が足りず、1人にかかる負担があまりにも大きい」と疲労困憊(こんぱい)の様子だ。

 準備不足といえばそれまでだが、制度設計に問題はなかったのだろうか。待ちに待った支援策が結果的に業界を疲弊させるようでは何のための政策なのか。

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