【交通トレンド分析201】タッチ決済で地下鉄 1日上限640円 鳥海高太朗


 日本全国、鉄道やバスなどの公共交通機関では乗り放題の1日券を販売しているケースが多いが、海外では事例があるが、日本でありそうでなかったのが、ICカード乗車券で1日券を買わなくても、通常通りにタッチで乗車して1日券の価格に到達した時点で、それ以降の乗車は無料になる上限を決める方式だ。この方法であれば、1日券を購入する必要、手間もなく、旅行者としても便利だが、福岡の福岡市営地下鉄が7月7日、タッチ決済による「地下鉄乗車の1日最大640円」をスタートさせた。

 福岡市営地下鉄では、ICカード乗車券「はやかけん」をはじめ、東京など関東での利用が多い「Suica」や「PASMO」や全国の主要IC乗車券でタッチ乗車が可能だが、今回の上限640円のキャンペーンはクレジットカードのタッチ決済のみ。対象となるのは、Visa、JCB、American Express、Diners Club、DISCOVER、銀聯の六つのタッチに対応のクレジットカードとなる。日本国内では、Visa、JCB、American Express、Diners Clubの四つのカードになるが、現状では上記の4ブランドでもタッチに対応しているカードと対応していないカードがあるので、カード表面にタッチ対応のマークがあるのかを確認することが望ましい。

 ICカード乗車券は事前にチャージする前払い方式で残高があれば使えるのに対し、クレジットカードのタッチ決済は基本的に後払いとなる。通常のカード利用と同様に請求書が届いてからの引き落としになる。

 福岡市営地下鉄では、2022年5月からクレジットカードのタッチ決済での地下鉄乗車をいち早く開始している。特に外国人観光客からは好評である。通常のICカード乗車券とタッチする場所が異なり、切符を入れる少し下の専用リーダーにタッチすることになっている。最近では鉄道利用時にICカードでタッチをすることがほとんどであるが、福岡で地下鉄に乗る場合で上限の640円を超えそうであれば、クレジットカードでタッチして乗車するのが望ましいことになる。またクレジットカード情報をスマートフォン上に登録することで(iPhoneであればWallet機能)、スマートフォンやApple Watchなどのデバイスでの利用も可能だ。

 この上限方式をもっと他の交通機関でも導入してほしいほか、ICカードでの乗車でも対応するとより便利だろう。しかしながら、タッチ乗車での上限設定は第一歩であることは間違いない。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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