今回失敗したのは、香港版SUICA「オクトパス」のシニア割引(60歳以上)を活用し損ねたことである。オクトパス購入の際に年齢を聞かれなかったのは若く見られた証しと慰めているが。
香港に20年以上住んで昨年親の介護のために帰国した旧知の日本人女性は、香港の方が住みやすかったという。給与は高い上、税金も安い、そしてアマァさん(お手伝さん)もいて、住宅の狭さを除いては快適な暮らしだったという。
さて、観光に関してだが、2018年に香港からマカオ経由で中国の珠海まで行く世界最長の海上大橋である香珠澳大橋ができた。今回はこの橋を走るのも一つの目的だった。いままでマカオまで高速船で1時間かかっていたものがバスだと30分に短縮されていた。かたやフェリーの運航頻度は半減されていた。
バスは太子駅(プリンス・エドワード)からも出ているが、要領が分からないと大いに戸惑うので、観光客は空港近くの香港口岸ターミナルへ行ってから乗車するのが賢明である。そしてマカオは埋め立て、拡張工事が続いているので、ターミナルやホテルの位置関係を調べておかないとタクシー代を随分散財することになる。
マカオのインターナショナル系のホテル進出には目を見張った。ベネチアンの周囲に、フォーシーズンズ、コンラッド、セントレジス、シェラトンなど一流ホテルが並んでいる光景は見ごたえがある。特にパリジャンホテルの前にはエッフェル塔がそびえ立っており、さまざまな角度から何枚写真を撮ったことか。
10年前に金鐘かいわいで雨傘運動が起こった時は、香港はどうなることかと心配したが、その後も鉄道網が広がり、西九龍地区も開発が進み、昨今はMICEのプロモーションも発表され、かつてのメイン・デスティネーションの地位を取り戻しつつある。
今回随分歩き回って散財もしたが、10年ぶりの香港はやはり活気があって楽しい街であった。
(日本語学校講師、前帝京大学教授、元旅行会社勤務 長谷川保宏)