【体験型観光が日本を変える366】総裁選、党首選で日本は変わるか 藤澤安良


 台風や豪雨は日本のみならず中国やベトナム、あるいは米国など全世界的に影響を及ぼし、被害が拡大している。学者や専門家は明らかに地球温暖化の影響だとする見解で一致してきている。もはやこの問題を避けて通ることはできない状況にある。

 米国での大統領選に向けた動きが活発になってきている。わが国でも二つの政党で総裁や党首選が真っただ中である。

 国民の目の前にある関心事は物価が上がったが消費は冷え込んでいるという経済、年金や福祉、あるいは教育などの暮らしである。その暮らしの中で重要な主食である米が逼迫(ひっぱく)し、それに伴い米価が大幅に値上がりしている。政府は備蓄米を放出するタイミングであったが、新米の流通が始まりだしたのでその機を逸したかもしれない。

 他の食料はほとんど値上がりしたのに、農業機械もそれを動かす燃料も値上がりしたのに、米価が上がらなかった不条理が解消されるといいのだが、しかし、現状では根本の生産者米価は上がっておらず、時代劇のテレビドラマのように農家ではなく誰かがもうけている構図である。

 インバウンドや海外需要が高まる中にあって、やたら減反政策を推し進めた見通しの甘さにある。サラリーマンなどの賃金アップや非正規の時間給アップのことばかりが論じられ、農家の収入が増える政策が蔑ろになっている。ますます、農業後継者問題が心配である。

 先ごろ、農水省は漁業従事者数が約12万人と発表した。日本の人口約千分の一である。つまりは、1人の漁業者が千人分の魚介類を、年間とり続けなければ間に合わないこととなり、不可能な量であり大きく輸入に頼ることになる。漁業も大変な局面である。

 森林環境税を生かせる地球環境と林業の課題をどうすべきか、1次産業の未来をしっかりと見据えた農林水産業と食料自給率アップの政策を唱える政治家がいるのか、目先の問題にしか関心が薄い人間が多い故に後回しになって、遅れを取り過ぎている。

 一刻の猶予もないといわれている地球温暖化対策の話も公約では出てこない。現実の課題と未来創造の課題を大局観を持って語ってほしい。一般国民も関心や希望を持てる論争を期待したい。

 観光は事が起こると弱い。気象条件、経済状態は当然ながら、米不足も、総裁・党首選挙もマイナスになる。そんな中でパリオリンピックに次いでパラリンピックも日本人メダル41個の大活躍により元気を与えてくれた。

 所得は少し上がったが消費はそれ以上に下がっている。消費マインドが下がる中での観光推進は厳しい。インバウンドで上がった観光地物価や宿泊代について行けていない現状がある。日本人の中間層の動きが活発になる値頃感の再確認が求められている。

 基本の宿泊代金が飲食にも体験プログラムにも波及してくることになる。これからの宿泊業は、何をするかの旅の目的提案と、おいしいお米と鮮度のよい魚介類と野菜や果物が大きな付加価値としてクローズアップされる。関連業態との地域連携が不可欠である。

 
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