日韓路線の現状と展望 大韓航空 常務 日本地域本部長 李碩雨氏に聞く


大韓航空 常務 日本地域本部長 李碩雨氏

地方路線拡大、地域を応援 若い世代間の交流も後押し

 大韓航空は、冬期スケジュール(10月27日~)で長崎―仁川(ソウル)を同社として11年半ぶりに復活させたほか、2025年春の神戸―仁川就航を発表した。李碩雨(イ・ソグ)常務日本地域本部長に日本路線の展開を聞いた。

――日韓路線の現状は。

 「大韓航空の日韓路線は、24年冬期スケジュールでコロナ前と同じ週223便に回復する。今回10月より長崎―仁川が11年半ぶりに運航再開し、鹿児島が週5便から毎日運航に増便する。また、成田―済州が夏期スケジュールに引き続き運航することが決まった。当社は他社が韓国線を運航していない青森、新潟、小松、岡山にも就航しており、今回の長崎を含めて13空港からの運航となり、各地域からも大変好評をいただいている」

――長崎線の復活、神戸就航など地方路線の話題が目立つ。

 「長崎県は九州7県の中で唯一、韓国との間に路線がなかったが、今回、長崎県のご協力もいただき、週4便で運航することとなった。国際空港化が進められている神戸就航に関しては、大阪・関西万博の来場者やビジネス需要が見込めることと、来年神戸市と仁川市が姉妹都市提携15周年に当たるなど、機運が高まっていることから話が進んでいる。また地元の経済界からも大変歓迎を受けている。スケジュールは未定だが、今後関係者と詳細を相談していきたい」

――収益的に大きいのは米国などの長距離路線だと思うが、大韓航空にとって日本路線の位置付けは。

 「当社は日韓国交正常化の前の年に日本―韓国定期便就航を果たし、日本と韓国の懸け橋的役割を果たしてきた。当社にとって日本市場は最も歴史があり、重要な位置を占める。東京や大阪などの主要路線はもちろんだが、地方路線も重視しており、さらに拡大していきたいと考えている。コロナ以降も富山、南紀白浜、帯広など、定期便が就航していない地域にチャーター便を多数運航し、韓国の旅行者に向けた、新しい日本の魅力の開拓を応援し続けている。今後も各都市の経済活性化や観光振興に貢献できるように努めていきたい。日本の方にも同様に韓国の地方にも足を運んでほしい。今は若い方がソウルを訪れる旅行が多いが、韓国の地方も世界遺産やおいしい地元の料理など、魅力のある都市が多いのでぜひ訪れてほしいと思う。また、当社は韓国行きだけでなく、ソウル・仁川空港をハブとして世界各地へのネットワークが豊富なので、ぜひ日本から仁川空港経由での世界への旅行にも利用してほしい」

――日韓路線にはまだ拡大の可能性、開拓の余地があると考えているのか。

 「私は日韓路線が“国内線”のように気軽に搭乗できる路線になってほしいと思っている。9月の日韓首脳会談でも、来年の日韓国交正常化60周年を見据え、両国民の入国手続きを円滑化しようという話が出ていた。旅行者の利便性を高め、交流の機運を盛り上げるには、まさにそうした環境が必要になる」

 「大韓航空は、アシアナ航空との経営統合を控えている。そのための準備が進められているが、統合した時に航空機を有効に使うことが重要な鍵となる。今は、同じ路線に同じ時間帯で運航しているケースもあるが、統合後は変わってくるはず。お客さまの利便性を大事に、路線の選択肢を増やし、スケジュールを拡充したい。スケジュールのみならず、新しい機材導入や機内食開発、使い勝手のいいアプリへのアップグレードや空港のラウンジリニューアルなどサービスも日々改善努力を進めている。いつ搭乗しても新しい大韓航空を感じていただけると思う」

――今の日韓関係は良好と言えると思うが、両国の関係はどうあるべきか。

 「私は3度目の日本赴任で東京や関西への滞在は通算13年に及ぶ。日韓関係には良い時期も、悪い時期もあったが、日本に長年滞在し、航空業界で仕事をしていると、観光は平和でなければ成り立たないと実感する。ただ、将来を心配してはいない。日韓の若い世代は、政治とは関係なく、相手の国の文化に好感を持っている。10年後、20年後により良い関係に発展する可能性がある。私たちも微力ながら、若い世代をはじめとする両国の交流を後押ししていきたい」

――日韓両国に詳しい李本部長に、韓国、日本それぞれのお薦めの旅行先を教えてほしい。

 「韓国の歴史が感じられる全州(チョンジュ)、慶州(キョンジュ)、扶余(プヨ)、公州(コンジュ)などの地方をお薦めしたい。今年成田からの再運航を果たした済州島にも行ってほしい。日本の中では、食べ物やお酒がおいしく、個人的に沈壽官先生とのご縁もあり、鹿児島がお薦めです」

【聞き手・向野悟】

大韓航空 常務 日本地域本部長 李碩雨氏

 
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