副題は、熱海市と静岡県における新公共経営(NPM)の実践。NPMとは民間企業の経営手法、発想を行政運用に導入すること。統計を用いれば税金の使い道に対する費用や効果を数字で示し、行政は市民らへの説明責任を果たせると編者。観光地づくりを進める行政のほか、市民を読者として想定した。
編者は、静岡大学で経済統計学を教える土居英二名誉教授。日本の行政システムでは「補助金獲得のために過大評価された中央省庁向けの過大な統計情報が最初にあり、住民向けにはあとで提示される構図。順序が逆であり住民自治が機能していない」と指摘する。
調査研究は、いずれも熱海市や静岡県がこれまでの観光地づくりで直面した課題を取り上げた。例えば、景観の値段。今ある熱海の景観を維持するために熱海市民は市全世帯で毎年1億3380万円支払っても良いと考えている、という。
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