全日本空輸(ANA)は10日、東京都港区のANAインターコンチネンタル東京で2010年から展開する新しいプロダクト・サービスブランド「インスピレーション・オブ・ジャパン」を発表した。「イノベーティブ」「際立つ個性」「モダンジャパン」をキーワードとした新ブランドに基づき、フルフラットになるビジネスクラスシートの導入や、世界で初めての温水洗浄機能付き便座の飛行機への塔載など、新しいサービスを充実。これまでにない機内での時間の過ごし方を利用者に提案し、需要獲得を図る。
成田〜ニューヨーク線に来年2月、新ブランドコンセプトに基づく新型シートなどを搭載した新造機、ボーイング777−300ER機が就航するのを皮切りに新ブランドの展開を始める。
ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスのすべてのクラスでそれぞれ新シートを導入する。このうちビジネスクラスの新シート「ANAビジネススタッガード」は、従来よりも居住スペースを50%広く、フルフラットにすることが可能。全席の通路側となる互い違いの座席配列により「個」の空間を確保した。食事のメニューや時間を自由に選んで、タッチパネルで注文できるサービスも来年4月から始める。
このほか新ブランドの展開として、成田空港のファーストクラスラウンジへの個室感のある「パーソナルルーム」の設置や、上位顧客を対象にしたチェックインサービスの導入を予定する。また新ブランドを感じさせるオリジナルのアロマやサウンドを開発し、新ブランドの浸透に活用する。ブランドのイメージキャラクターには、日本らしい細やかな情緒を伝えるだけでなくグローバルな評価を得ている人物として、俳優の本木雅弘さんを抜擢した。
新ブランドの展開に伴う航空機材の開発費は150〜170億円。同社では来年以降、新ブランドによる増収を年50億円程度見込んでいる。伊東信一郎社長は「厳しい経営環境中でも設備投資を行い、顧客目線の取り組みをアピールしていくことで、勝ち抜いていきたい」と力強く語った。