全日本ホテル連盟(ANHA)青年部(樋口敬祐部長=東京都・銀座国際ホテル)は9月26~28日、沖縄県で研修会を開いた。青年部、会員ら13人が参加。総合エンジニアリング会社のタップ(東京都江東区)の実証実験施設「タップホスピタリティラボ沖縄(THL、うるま市)」や、高いホスピタリティを誇る現地のホテルを視察し、ホテル運営においてテクノロジーとサービスがいかにして共存できるか、その手法や手掛かりを探った。
研修の核となったのは、観光・宿泊産業のDX化を推進する実証実験施設、THLの視察だ。顔認証を活用したチェックイン・アウトや無人コンビニエンスストア、さらには宿泊客の健康管理を行うセンサーシステムなど、最先端技術をユーザー視点で体験。また、ホテルの清掃や配膳にロボットを活用した実証事例を視察し、テクノロジーが人手不足の解消にどう寄与するかを考察した。
視察後の勉強会では、タップの林悦男会長も参加し、ホテル運営におけるテクノロジーの活用について議論。「館内を利用するには専用のアプリケーションが必要だが、高齢者など操作に支援が必要な人への対応策は」という問いに対して、「接客を通じたフォローアップによりお客さまとのタッチポイントが自然に生まれ、ホスピタリティが実現する」(林会長)などとさまざまな見解に触れ、視野を広げた。
研修の後半は、ラグジュアリーホテル「ハレクラニ沖縄」(国頭郡恩納村)を訪問。オールデイダイニングでは、待機時や食器の回収時に利用客の目にできるだけ触れないよう配慮された配膳ロボットの導線づくりなど、省人化とホスピタリティの両立が実現された現場を見学した。
視察のほか、沖縄県のホテル関係者を交えた交流会も開かれ、現場で直面している人手不足の課題やDX化の現状などについて活発に意見を交わした。
研修会を主導した樋口部長は、「どのテクノロジーをホテルで採用するかを考える前に、まずは基盤となる概念を理解することが重要だ。ハード(客室ドア)とソフト(鍵の開閉システム)を区別することで鍵の交換が不要になるという発想は、今後のホテル設計に非常に役立つヒントとなった」「勉強会や交流を通じて連盟の団結が深まり、業界全体のネットワーク強化も図れた」と研修の意義を強調した。
林会長を交えた勉強会の様子
THLの前で記念撮影