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全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は1月28日、東京都の観光振興と国内観光の活性化を図るイベント「第19回国内観光活性化フォーラムin東京」を東京都江東区の東京ガーデンシアターで開催した。全国から集まったANTA会員や一般入場客など約2500人に東京都の観光魅力をアピール。会員5400社の総力をあげて、2月から12月までの11カ月間で、東京都へ50万人を送客するキャンペーンを実施することが決定した。
“まだ見ぬ東京”を発信
今回の東京大会のスローガンは、「ようこそ、まだ見ぬ東京へ。」。都心部にとどまらないさまざまなエリアの観光魅力が発信されたほか、全国の自治体や企業など多数のブースが出展した。
開会式では、地元実行委員会の村山吉三郎委員長による開会宣言の後、二階会長が主催者あいさつを行った。二階会長は、「東京は歴史と文化、娯楽とグルメ、山間部や離島には豊かな自然を持ち、さまざまな顔を併せ持つ世界でも類を見ない巨大都市。東京開催は、観光産業の現状を見つめ直し、未来の発展に向けたビジョンを共有する絶好のチャンスだ。この東京を起点として地域へ経済活動を波及させ、日本全体が良い環境となる観光モデルを構築していくことが重要だ」と強調。「私たちは世の中を観光という光で照らしている。人々の苦しみや悲しみを希望に変えていく、平和の精神にもつながる崇高な業務を担っており、この誇り高い互いの矜持(きょうじ)を忘れることなく、互いに切磋琢磨しながらともにまい進していこうではないか」と会員を鼓舞した。
二階俊博会長
続いて、来賓あいさつとして観光庁の秡川直也長官が登壇。2024年のインバウンドが3687万人を記録し、その消費額も8兆円に達したことに触れ、「これもひとえに皆さまに毎日尽力いただいた結果のたまもの。観光は日本の成長戦略の柱、地域活性化の切り札と言われている。非常に良いこの状況を、みんなで力を合わせてさらに伸ばしていきたい」と意欲を示した。持続可能な観光を重視し、大都市圏から地方分散への取り組みを推進していくと説明した。
秡川直也長官
歓迎のあいさつを行った東京都の小池百合子都知事は、昨年秋に大手旅行雑誌「Conde Nast Traveler(コンデナスト・トラベラー)」が発表した米国版の「世界で最も魅力的な大都市ランキング」で、3年ぶりに東京都が1位に選出されたことに言及。伝統的文化に加え、近年都が力を入れているナイトタイムでの観光やミシュランガイドの星付きレストランを中心としたガストロノミー・ツーリズムを紹介した。
小池百合子都知事
基調講演では、観光庁の羽矢憲史観光産業課長が、「これからの観光政策について」と題したプレゼンテーションを行った。羽矢氏は昨今の観光を取り巻く状況について、インバウンドは国内の主要な輸出産業に比肩するほど成長している一方、訪日客の滞在先が三大都市圏に集中している現状を説明。今後は高単価な特別体験型商品の造成支援などにより地方誘客への取り組みを推進することを強調し、25年度当初予算と具体的な事業内容についても紹介した。
「愛知県送客キャンペーン」優秀会員と「学生がつくる東京都の着地型旅行プランコンテスト」入選者への表彰式も開催された。同コンテストの最優秀賞には、東京大学大学院・修士課程1年の増田和俊さんの「全身で味わう東京の奥座敷」が選ばれた。
その後は、都内11自治体による「東京ご当地PRショー」や、有名アーティストによるライブステージが行われ、会場を盛り上げた。PRショーでは、品川区、豊島区、杉並区、小平市、稲城市、東大和市、立川市、あきる野市、八王子市、日の出町、奥多摩町のゆるキャラが登場。お笑いコンビ「ターリーターキー」とともに、各自治体の観光スポットや産業などの特徴を紹介した。
次回は奈良県で開催
次回の国内観光活性化フォーラムは来年2月11日の建国記念の日に奈良市で開催する。終盤には次回開催地引継式が行われ、京浜地方支部長連絡会の村山吉三郎議長(東京都支部長)から、近畿地方支部長連絡会の吉村実議長へ大会旗が引き継がれた。奈良県支部の中島昭人支部長は、「来年夏には『飛鳥・藤原の宮都』が県内4番目の世界遺産として登録される可能性を秘めている。世界遺産の街・奈良において、日本のルーツ、旅の原点を知っていただく奈良大会をお楽しみいただきたい」と意気込みを語り、奈良大会への来場を呼び掛けた。