ベストセレクション

到着すると気持ちがはやる。荷を解くのもほどほどに高台の展望露天風呂『極楽の湯』へと向かうと、野趣あふれる大湯船が待っている。湯に浸かって大空や万座の山々を見渡せば、まさにそこは天空の湯。晴れた夜には満天の星がすぐそこに瞬く。「天空に一番近い癒しの宿」といわれる由縁だ。日進舘は標高１８００ｍに位置し、豊富な湯量の温泉を天然木にこだわった９つの風呂に満たし、訪れる人を魅了し続けている。１日５００万リットルの湧出量で日本一の硫黄濃度を誇る万座温泉にあって、何と宿の自家源泉は地表に約75度以上の高温で毎分７００リットル自然湧出する。想像もつかない量であり、泉質も世界最高レベルだという。時間の許す限り温泉を楽しむ贅沢な時間が幕を開く。次に向かったのが大浴場『長寿の湯』で、大湯船の苦湯、屋根付露天風呂の姥苦湯、万座に自生する熊笹を浮かべるささ湯、鉱石成分が多い真湯、滝湯が待ち受けている。湯船ごとに異なる趣が、気ままにめぐる楽しさに拍車をかける。この他に万天の湯と貸切湯もあるが全部入れるかどうか。湯治目的で長期滞在する人も多いと聞くが、なるほどその価値はあると納得する。

部屋は眺め、利便性、手頃感、広さ、デザインなどにこだわった10タイプから選べるが、長期滞在者向けの客室に泊まるプラン、合宿や団体旅行向けにヒュッテなどの一棟貸切プランもあるという。夕食は健康と栄養を考えた和洋中のバイキング。「まごわやさしい」にこだわった40品以上のバランスメニューが楽しめる。ヘルシー志向、宿はその言葉を実践に移している。