文献に残る開湯は天智天皇の時代とされる湯田中温泉は、別名「養遐齢(ようかれい)」と呼ばれている。遐齢とは長命長寿の意味。つまり湯田中の湯は長命長寿の湯であり、病を癒し、心身を養生する湯として長く親しまれている。その霊験あらたかな温泉を磨き続けているのが、その名の如く美湯の宿だ。
湯殿にあふれるのは3つの源泉から引かれた温泉をオリジナルブレンドした加水・加温なしの温泉。長野県独自の温泉規格にも認定された、正真正銘の「源泉掛け流し100%」の天然温泉だ。それだけではない。泉質や湯は湯守に托して徹底管理し、季節や天候によって変化する温泉の状態を把握しながら常に最高の湯量と温度、清潔さで入浴できるように配慮している。湯守は日々の温泉状態の記帳も欠かさないという。さらに。大浴場そのものがジャグジーの湯船。温泉を直接身体に当てることでまず湯をやわらかくし、一方では身体へのマッサージ効果を促すことを狙ったものだという。草津温泉の「湯もみ」と同じ考えだそうだ。湯田中に縁の深い小林一茶は「湯けぶりの ふはふは蝶も ふはり哉」「雪ちるや わき捨ててある 湯のけぶり」などの句を残しているが、そんな湯心地をこれほどのこだわりの名泉とともに楽しめるのは、まさにこの宿だけの愉しみである。大浴場の外には露天風呂と岩露天風呂も控えている。肩まで湯に浸かりながら眺める信州の澄み渡った大空や木々の彩りにも癒されることだろう。また、屋上には貸切露天風呂も用意されていて、晴れた夜には宝石箱をひっくり返したような満天の星空にも出会える。
湯田中温泉やその奥に控える渋温泉は、温泉に入る猿で知られる地獄谷野猿公苑観光目当てに訪れる外国人観光客であふれかえる。そんなインバウンドニーズにも応えているのが眺望豊かな客室群。川側と山側に和のやすらぎに満ちた部屋が用意されている。客室へ案内されると入口に女将直筆の一茶の句のメッセージ。宿からの細やかな気遣いも伝わってくる。中でも特別室「一茶の間」は、総檜の浴槽にあふれる源泉かけ流し温泉を雄大な北信五岳を眺めながら過ごせる贅沢な空間。もうひとつの特別室「美湯の間」ではテレビ付ジャグジーの温泉露天風呂から湯田中の街が見渡せる。室内に香るのは青森産ヒバの芳香。心地良い広さにも癒されながら快適な滞在が叶う。宿泊者には特別会席料理も用意される。
食事は大広間での膝に優しい和膳テーブルでいただく。旬の山菜、千曲川の清流で育った天然の川魚、新鮮な路地もの野菜など、国産の天然素材やヘルシーな食材にこだわった料理が楽しめる。人気は種木のままで出てくる名産のしいたけ焼。美味しさも格別で、椎茸をもぎ取った後のホダ(原木)を持ち帰ることができ、自宅でしいたけを育てることができるという。経験したことがない粋なサービスだ。滞在中の憩いは全面ガラス張り、フローリングの床のモダンなロビーラウンジがいい。眼下には湯煙を上げる温泉街のパノラマ。空気が澄んだ日には北信五岳の峯々がその雄姿を見せる。ともに憩う外国人たちも笑顔を返してくれる。空き時間があったら、湯田中温泉手形で湯めぐりを楽しむのはいかがだろう。
住所:〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏2951-1
交通:【電車】長野電鉄湯田中駅下車、徒歩約10分 【自動車】上信越自動車道信州中野ICから国道292号線、約10km
【駐車場】乗用車40台・大型4台 【送迎】湯田中駅(要予約)
TEL:0269-33-4126 FAX: 0269-33-3800
URL:http://www.yudanakaview.co.jp/
◆建物/鉄筋8階建 ◆客室/和室42・和洋室4(内、露天風呂付2、計46室) ◆バス・トイレ付き44室、シャワートイレ付き44室 ◆食事/夕食:和風会席、朝食:和定食(料金とセット) ◆食事場所/夕食・朝食:会食場 ◆館内施設/宴会場(6室、24~140畳)、カラオケスナック(1室)、バー、喫茶、ティーラウンジ、売店 ◆料金/13,000円~35,000円(税別) ◆チェックイン15:00、チェックアウト10:00 ◆日帰り入浴/800円(14:00~20:00) ◆Wi-Fi使用可/全館・ロビー・客室・その他