CEOは競争優位性の獲得に向けて生成AIに大規模投資 EY調べ


 EYは12月14日に発表した、最新の調査レポート「EY CEO Outlook Pulse survey」の中でグローバル全体の70% (日本*58%)のCEOが競争優位性を獲得するため、生成AIへの投資を加速すると発表した。

・グローバル全体*¹の70% (日本*² 58%)のCEOが競争優位性を獲得するため、生成AIへの投資を加速

・68% (日本 57%)のCEOが生成AIの不確実性がその導入の妨げとなっていると回答

・M&Aによる企業買収意欲は9年来の低水準を記録しているものの、CEOはオーガニックな投資を強化

 

EYは、最新のM&Aに関する調査レポート「EY CEO Outlook Pulse survey」(以下、「本調査」)を発表したことをお知らせします。世界の1,200人のCEOを対象として四半期ごとに行われる本調査は、今回主にAI(人工知能)、資本配分、投資に関する戦略についての洞察を提供し、CEOが新しいテクノロジーに関連して抱いている課題および緊急性を反映しています。

 

本調査では、世界中のCEOは、AIの潜在的可能性を認識しつつ、AI関連の戦略を練り、それを運用するうえで大きな課題に直面していることが明らかになりました。また、CEOの70%(日本 58%)が競合他社に戦略的優位性を与えないため、生成AI(ジェネレーティブAI)の出現に対して迅速に対処する必要性を見い出している一方で、それと同程度の割合のCEO(68%)(日本 57%)が、AIが持つ不確実性が迅速な行動を妨げていると回答しています。

 

AIが自社のビジネスモデルをディスラプトする可能性を認識しつつも、ほぼすべてのCEO(99%)(日本 99%)が既に生成AIに多額の投資を行っている、またはその計画を立てていると回答しています。AIに資金を投入するため、69%(日本 74%)のCEOが自社の他の投資プロジェクトやテクノロジー関連予算から資金を再配分しており、23%(日本 15%)が新たな資本を調達しています。しかしAIによって実現される未来に向けての投資は、この数字が表すほど容易ではないようです。26%(日本 30%)のCEOが、生成AI施策への資本配分について意思決定をするうえで、生成AIの急速な進化が最大の課題であると回答しています。66%(日本 62%)が、AIの専門知識を有していると主張する企業があまりにも急増しているため、本当に信頼できるエコシステムパートナーシップや企業買収先候補がどこであるのかを特定し、それを実行する決断が難しくなっていると考えています。

 

EYJapan ストラテジー・アンド・トランザクション リーダー 梅村 秀和(うめむら ひでかず)のコメント:

「生成AIが企業の運営方法を抜本的に改革する可能性は決して無視できません。CEOは自社の競争優位性を確かなものにしつつ、自社が時代に乗り遅れないようにするためにも、テクノロジー分野に大胆な投資を行っています。生成AIに強い企業を買収先または提携先として迎えることが大きな転機につながることを認識していますが、AIの革新性があまりに大きいため、市場動向に対する判断は容易ではありません。一方、CEOは生成AIの施策を加速するため、将来の人材にも投資をしています。CEOの大半(87%)(日本 85%)が生成AI関連のスキルを持った新しい人材の採用を行っている、もしくは目下採用中であると回答しました。また、多くの企業が複数の企業とパイロットを実施したり、既にパートナーシップを組んでいます。日本では多くのCEO(69%)が競合優位性と共に生成AIの潜在能力が生産性の向上、効率、人材スキルの開発などリーダーシップ能力の強化にもつながる可能性があると回答していることも大変興味深い結果となりました」

 

CEOはオーガニックな投資を強化しているものの、M&Aによる企業買収意欲は9年来の低水準を更新:

ビジネスリーダーは引き続きマクロ経済の逆風や規制変更、地政学的な不安定さに直面していますが、リーダーの多くが短期的には依然として高水準の成長を見込んでおり、研究開発や資本支出に対する投資を強化しています。

 

本調査によると、CEOは未来への投資について攻めの姿勢を維持し、その大多数(89%)(日本 81%)が今後12か月のうちに何らかのトランザクションを計画中です。しかし、M&Aディールへの意欲は2014年以来最低の水準にまで落ち込み、わずか35%(日本 21%)のCEOのみが今後12か月以内にM&Aを計画しています。こうした回答は現在進行形の地政学的リスクやマクロ経済学的な不確実性に起因していると考えられますが、AIのケイパビリティを持つ買収先が特定・検証しにくい状況や、今年初めごろに高まっていたAIケイパビリティの獲得を主目的とするM&A件数の落ち込みに鑑みると納得のいく回答でもあります。

 

企業がM&Aを遂行しようとする意欲は、欧州地域(29%)やアジア太平洋地域(25%)と比較してアメリカ地域(47%)でかなり高く、これは2023年第3四半期の、特に米企業関連のディール締結における大幅な伸びを反映しています。

 

梅村は次のように述べています。

「M&Aが広範囲にわたって減速している現在の地政学的、および高い負債コストをはじめとするマクロ経済的な不確実性がこの結果の理由でしょう。さらに本調査では、他の二つの要因も作用していることが明らかになっています。一つ目はM&A活動が標準的な、コロナ前の低水準に戻ったことでテクノロジー関連のディール締結が軟化している点、二つ目はCEOが生成AIが及ぼす影響を理解しようと努めている点です。日本も他のアジア太平洋地域と同じくM&Aに対する意欲は低い結果となりました。これは円安なども一部影響があると思われますが、成長の鈍化、インフレの持続、高い資本コストや日本銀行の低金利政策からの脱却の可能性など、企業が多くの課題に直面していることが主な理由と考えられます」

 

変革への資金投入に向けたビジネス成長と収益性の最大化:

過去4年間、ビジネスリーダーはさまざまな事象、つまり消費者行動の変化、サプライチェーンの再設計や再構築、世界のエネルギー市場の転換、市場の成長やインフレ、金利環境などの急激な変化にいち早く対応してきました。それでもなお相当数の回答者が、2023年と比較して2024年により高い水準の成長(66%)(日本 70%)や収益性(65%)(日本 73%)を予測しています。

 

近い将来に世界経済の成長率予測が下方修正される可能性が高いため、CEOは自身の成長率予測が今後5年間に予測されている市場の成長鈍化を反映しているかどうか見極めていく必要があります。

 

さらに梅村は次のように述べています。

「高成長を見込んでいるCEOは、過去数年間に競争的ポジショニングや潜在的な成長の機会の両面において、既に困難な選択をしてきたことでしょう。まだ大きな決断をしきれていないCEOにとっては、現時点および今後予測される市況をベースとした従来のビジネスモデルの改革に挑むことが、早急に対応すべき、避けては通れないステップです。また、CEOは、自社の製品と地政学的見地から、自社におけるオペレーションのすべてのエリアを精査し、どの不採算事業を切り離すべきかを決定する必要があります。ビジネスの成長と収益性を最大化し、変革に資金を投入することが、今後企業にとって長期的価値の創出を実現するカギとなるでしょう」

 

*¹グローバル企業のCEO=日本企業を含むグローバルでビジネスを展開している企業の回答者。本調査では全回答者がこれに該当する。

*²日本企業のCEO=今回の調査で回答のあった企業のうち、日本に本社を置くグローバルで展開している企業。

 

※本ニュースリリースは、2023年10月24日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳し、日本の見解を加えたものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

 

英語版ニュースリリース:

CEOs bet big on generative AI to gain competitive edge despite hurdles to adoption and M&A challenges

 

 
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