東武トップツアーズはこのほど、観光業界の脱炭素に向けた取り組み推進の一環として、旅行中のCO2排出量を可視化できるツール「Decarbonising Tourism System(以下、DTS)」をバックキャストテクノロジー総合研究所(東京都港区)と共同開発した。9月20日には業務提携契約締結の調印式を実施。両者は「CO2排出量の数値を可視化し、まず脱炭素に関する現状を把握すること」の意義と重要性を訴えた。
東武トップツアーズは、政府や国際会議で策定されるCO2排出量の削減目標に沿う同社の取り組みの中で、現在の業務や旅行の行程でのCO2排出量を可視化、数値化し、削減への姿勢や機運を高めることの重要性に着目。「観光セクターが一丸となってCO2排出削減に取り組み、業界全体で今後のツーリズムを考える必要がある」(同社担当者)との考えから、今回の業務締結に至った。
DTSは、電気代やガス代などの水光熱費、食品などの原材料費、廃棄物処理に要した手数料等、モノ・サービスの購入から販売までの事業活動に関する会計データからCO2排出量を算出するツール。バックキャストテクノロジー総合研究所が既に運用し、多様な分野の企業からの採用実績があるツール「環進帳」の仕組みを利用したもので、同社の傘木和俊社長は「排出量算出等に継続的なコンサルティングを必要とせず、事業者自らCO2の排出量削減を意識できるようになる」点を大きなメリットとして挙げる。
東武トップツアーズの百木田康二社長は「現状でのCO2排出量を可視化し把握することが、観光事業者を含め国内全体での一丁目一番地の事項。それをもとに対策を講じ、実行し、そこから算出される数値を検証して次の対策へ、のサイクルが重要。DTSを観光業界の同取り組みにおけるプラットフォームとして活用してもらいたい」との思いを明かした。
現在同社は、各業態や規模別の事業者の利用に対応できるようシステムの最終的な整備を行っており、プランや料金設定などを経て「早ければ今秋、遅くとも来春までには稼働を開始する予定」としている。
業務提携契約締結の調印式でグータッチする百木田社長(左)と傘木社長