「ローカル、グローバルな観光を」
G20観光大臣会合(10月26日、北海道倶知安町)で北海道の高校生が、地域を活性化させる観光の在り方について提言した。倶知安高校をはじめとする道内4校の高校生8人が参加国の観光担当相らを前に英語でスピーチ。観光客が地域の魅力に触れる「Be Local」、地域住民が観光を通じて異文化を知る「Be Global」の姿勢で、地域が主体となった「持続可能な参加体験型観光」を提唱した。
提言を発表したのは、倶知安高校の石崎結子さん、青木千夏さん、倶知安農業高校の湊谷羽月さん、木村愛梨さん、札幌国際情報高校の高口美結さん、鈴木莉子さん、立命館慶祥高校の福田莉菜さん、飯田萌菜さん。タイトルは「持続可能な参加体験型観光について~地域の資源や魅力を自分たちの手で~」。
倶知安町エリアは外国人観光客が多い日本有数のリゾート地として急成長するなど、観光分野の成長モデルの一つになっていると紹介。しかし、全国的には都市を巡る外国人観光ツアーの多さに対して「地方を巡るツアーはあまり多いとは言えません。観光客によって都市は多額の利益を得ますが、地方はそうでないため、観光による地域の活性化につながっていません」と課題を提示した。
地域の受け入れ態勢にも課題があるとして、交通手段や宿泊施設、多言語表記の整備、ベジタリアンなどの食の多様化の必要性を挙げた。地域住民の異文化に対する理解も必ずしも十分ではないと指摘した。
地方観光の活性化に向けて「Be Local’Be Global」プロジェクトを発表。地域自らが観光を運営し、旅行会社などと連携しながら、観光客にその地域ならではの体験を楽しんでもらうことで地域経済の発展を目指す「持続可能な参加体験型観光」を提唱した。具体例として、農業に着目し、地域の農家と共に農作物を収穫し、その農作物で地域の料理を作り、食を体験する観光プログラムなどを提案した。
参加体験型観光の推進では、「地域のアセット(資源、資産など)を地域の観光業の要」とする重要性を強調。「持続可能な観光を実現させていくためには、その地域の魅力とは何かを考え始めることが第一歩」と訴えた。
倶知安高校、倶知安農業高校、札幌国際情報高校、立命館慶祥高校の高校生が大臣会合で発表。議長の赤羽国交相に提言書を手渡した