東京、クーポン10月開始
GoToトラベル事業は、10月1日から東京都を発着する旅行が割引の対象に追加されるとともに、全国の旅行先で地域共通クーポンの利用が始まる。観光庁は、感染拡大防止と両立しながら、事業の本格実施による地域経済への波及効果の拡大に期待している。他方で、高価格の商品での利用が多く、恩恵を受ける事業者に偏りがあるとの見方があることから、これまでの事業の利用実績を分析した上で、低価格の商品を中心とする中小規模などの宿泊施設や旅行業への配慮も検討する。
観光庁の蒲生篤実長官は18日の専門紙向け会見で、「東京追加、クーポン開始で、GoToトラベル事業は本来想定していた姿になる。旅行と、旅先における買い物、飲食などの相乗効果で地域の経済に貢献できるよう事業を進めていきたい」と述べた。
東京都居住者の旅行と、東京都を目的地とする旅行の追加については、「東京は日本の人口の1割以上、ビジネスの中心地で、観光の目玉もある。東京が入ってくるインパクトは非常に大きい。ただ、感染の拡大を防ぐことが大前提なので、引き続き今まで以上に対策へのご協力をお願いしたい」(蒲生長官)。
GoToトラベル事業の7月22日開始以降の8月31日までの利用実績は、割引商品の販売分、割引の事後還付分を合わせて1339万人泊以上。旅行需要を喚起し、観光産業、地域経済に対して一定の下支え効果が指摘される半面、高価格帯の宿泊プランや旅行商品などでの利用に比べて、リーズナブルな価格帯での利用が少なく、中小規模の宿泊施設や旅行業に恩恵が小さいとの声も聞かれる。
蒲生長官は、高価格の商品に利用が偏っているといった見方に対し、裏付けるデータなどの事実は把握していないとしながらも、「今の旅行環境では、3密を避けたい、ゆったりとした部屋に、風呂付きの部屋に泊まりたいなど、高価格帯の部屋が選ばれる傾向があったかもしれない。そうした傾向があるのかないのか、利用実績を分析したい」との考えを示した。
中小事業者への事業効果の波及について、蒲生長官は「GoToトラベル事業の執行管理において、一定程度、中小事業者に配慮していかなければという問題意識は庁内で共有している。中小の宿泊施設、旅行業者に手厚い配慮ができないか検討している」。また、中小旅行業などで取り扱いが多い団体バス旅行についても、「バスの感染対策上の安全性などを紹介していきたい。貸し切りバス事業者への支援を求める要望もあるので、事業の中で念頭に置いて対応したい」と述べた。
観光庁の蒲生長官(18日の専門紙会見で)