GoToトラベル、OTAの割引制限で対策 誤解、混乱ー事務局対応を改善


赤羽国交相(13日の会見)

割引率維持へ予算追加

 国内旅行の需要を喚起するGo Toトラベル事業で、当面の予算枠を使い切ってしまう懸念から一部のオンライン・トラベル・エージェント(OTA)が対象商品の割引率を独自に引き下げるなどの条件変更を相次いで実施した。消費者に混乱を招くとして、赤羽一嘉国土交通相は13日の会見で、旅行・宿泊代金の割引率は本来の35%を一律で維持する方針を示した。OTAなどに対して予算枠の追加配分を行い、割引率の回復など事態を改善することを表明した。

 Go Toトラベル事業の対象商品の割引を巡っては、9日から10日にかけて大手OTAが相次いで利用条件の変更を発表した。例えば、じゃらんnetと一休.comはそれぞれ1人1泊当たりの宿泊割引の上限額を3500円に変更。この条件だと1万円を超える宿泊プランなどの場合、割引率は35%を下回る。

 本来、Go Toトラベル事業は、旅行・宿泊代金の35%を宿泊割引で、15%を地域共通クーポンの付与で支援する。支援の上限額は1人1泊当たり2万円(日帰り旅行は1万円)。赤羽国交相は、制度の内容はこれまで周知してきた通りとして、「この方針をしっかり堅持していく」と強調した。

 一部の事業者が割引率を引き下げるなどの事態に至った理由については、「事業者、観光庁、事務局とのやり取り中で表現に誤解があり、こうした混乱が起こった」「予算が足りないといった情報を事務局や観光庁がキャッチし、適切に手当てしていれば、OTA各社がこうした対応をしなくても済んだのではないか」(赤羽国交相)。

 予算が底をつきそうな事業者には追加の予算配分を行う方針。赤羽国交相は「元通りの35%の割引商品を継続して販売できるよう、観光庁に必要な対策を指示した。各事業者は、遅くとも14日午前中までには35%の割引支援を再開するとの報告を受けている」。じゃらんnet、一休.comがそれぞれ13日午後に本来の割引率を回復するなど、国交相の表明に各社が対応した。

 大手OTAなどでは、予約・販売が短期間のうちに急増し、当面の予算枠がひっ迫したとみられる。他のOTAや旅行会社の中にも、同様の状況から一部旅行先の商品販売を見合わせたり、利用回数を制限したりするなどの動きが起きていた。

 予算配分は、事業者が提出した販売計画などに基づき、観光庁、事業事務局が金額を決定して通知する。特定の時期や地域に利用が集中しないよう事業の執行を管理しながら、一度に配分せずに時期を区切って段階的に割り当てる仕組み。

 観光庁や事務局は当初から、事業者が途中で手元の予算を使い切ってしまう事態も想定し、広告の出稿量を調整するなど販売管理に留意するよう求めていたが、事業者によっては予約・販売の実績が計画を大幅に上回り、切れ目なく本来の割引が実施される形にならなかったとみられる。

 今後の予算配分について赤羽国交相は、予算の残額などは明らかにしなかったが、「(Go Toトラベル事業の)予算はすぐに枯渇するような状況ではない。事業者の予約・販売状況を適切に把握し、可能な限り機動的に予算枠の追加配分を行う仕組みに改めていきたい」と述べた。

赤羽国交相(13日の会見)

 
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