警察庁のまとめによると、ゴールデンウイーク期間(4月28日~5月6日)の全国主要行楽地の人出は約6618万人に上り、昨年を159万人上回った。ちなみに、トップは「博多どんたく港まつり」(福岡)の約210万人。好天にも恵まれ、また景気回復感もあってか、人の動きは活発だった。JR各線や航空会社の国内線利用も増えた。旅行会社や観光協会、旅館組合などに手ごたえを聞いた。
旅行会社
近畿日本ツーリスト(KNT)はGWのみの実績は集計していないが、「4月は休みが多かったため良かったが、5月はあまり良くない」という。前年に比べ好調だったのは京都、大阪などの関西方面と岡山。岡山についてはJRのデスティネーションキャンペーン(DC)の影響があると見ている。また、信州・山梨方面も好調。NHK大河ドラマ「風林火山」が追い風になっているようだ。
「販売実績は前年同期比95.8%で前年割れ。4月は170.6%だったものの、5月は76%にとどまった」というのは日本旅行。特に5月5、6日の宿泊が大きく前年を割れた。「昨年以上の大型連休だったためか、最後は自宅でという傾向が見られた」。
好調だったのは首都圏(118%)、京阪神を除いた関西(108%)、中四国(104%)。首都圏は東京ディズニーランド(TDR)以外に、東京タワーや東京ミッドタウンなどに注目が集まった。逆に東北(82%)や北海道(90%)は不調だった。
阪急交通社の国内旅行は人員ベースで102%に。「九州は155%、関東方面が131%と好調」。航空機利用は5月3、4日出発に集中しており、連休後半が良かったという感触だ。
「前年並みの実績」だったのはトップツアー。そうした中で、関西のJRを使った商品が110%と伸びた。「出張プランを使う帰省客が多かったのでは」と見ている。北海道、沖縄も好調に推移。「関東近辺では房総キャンペーンを展開していた千葉県の客足が増えた」としている。
JALツアーズは「5月の日並びが昨年と比べ悪く、5連休が4連休となったため、4月は120%だったものの、5月は90%にとどまった」という。北海道、沖縄は相変わらず好調で、特に北海道が良かった。
ANAセールスの実績は110%。5月1、2日は2ケタ増に。JALツアーズ同様、北海道、沖縄は好調で、それぞれ105%、113%となった。ピークは28日と3日。いずれも旅行代金は高めだが、気にしない消費者も少なくない。「値段以上にツアーの内容やサービス志向の傾向が強まっている」と分析している。
温泉・観光地
登別観光協会(北海道)によると、9日間の宿泊者数は計4万7700人となり、昨年より200人程度増えた。日帰り客はガクンと落ち、「ガソリンの値上げに加え、娯楽施設を備えた大型ショッピングセンターが近郊にオープンし、客足がそちらに流れたのでは」と見ている。
「宿泊客が集中した3、4日以外は昨年の方が良かった」というのは蔵王温泉観光協会(山形)。トータルでは前年並みに。「27日に蔵王エコーラインが開通し、また積雪量も多かったため、3、4日はスキー客で賑わった」。
草津温泉旅館協同組合(群馬)によると、26日から6日までの11日間の宿泊者数は14万8875人、客室稼働率は82%だった。前年に比べ、それぞれ7.8%減、4.4p減となっている。
鬼怒川・川治観光協会(栃木)は「後半(3~6日)は例年よりも良かった」としている。自然志向の観光客が多く「例年開いている山野草展の入り込み客数は例年より伸びている」。JRと東武の乗り入れの影響については「1日2便、500人程度なので影響と言うほどのものは特にない」と冷静だ。
熱海温泉ホテル旅館協同組合(静岡)によると、「宿泊実績は前年をわずかに超える程度」。28日、1日、2日は前年割れだが、29日は175%増、5日は117%増だった。「稼働率はそこそこだが、客室当たりの宿泊人数が減っており、楽観はできない」と気を引き締める。
「最終的には例年並みの実績ではないか」と見るのは下呂温泉旅館協同組合(岐阜)。「足湯を4~5カ所整備したことなどで、若い女性グループなどこれまでよりも若い層の姿が目立った。日帰り客も含め、後半は非常に賑わいを見せた」としている。
神戸市観光交流課(兵庫)によると、市内主要観光施設の利用客数は異人館や美術館が好調、有馬、六甲・摩耶などは前年並みで、トータル106%の77万2452人。主なところでは、有馬温泉の外湯、金の湯.銀の湯は101%、太閤の湯殿館は118%、六甲・有馬ロープウエーは104%。
宿泊について有馬温泉旅館協同組合では「谷間の1、2日を含めて良かったが、宿泊のキャパシティを超えた需要が実際にどのくらいあったのかを考えると、それは少ないように思う。GWが良くても楽観できる状況にはなく、連休後はやはり落ち込んでいる」と顔を曇らす。
松山市観光産業振興課(愛媛)のまとめによると、道後温泉本館の椿の湯の利用者数は103.6%の6万1308人で、2日までの前半戦は2ケタアップが続いた。また、松山城天守閣は164.5%の2万3533人、4月28日にオープンした坂の上の雲ミュージアムは1万6593人を集めた。
一方、道後温泉旅館協同組合は「例年通り満室、谷間の1、2日も良かったようだ。課題は連休明けだが、周辺観光施設との相乗効果を発揮できるよう、イベントなどを工夫していきたい」と話している。
別府市観光まちづくり室(大分)が抽出調査している市内施設の利用客数は、宿泊施設28軒が105.5%の4万6223人、観光施設10カ所が91.3%の36万295人。「前半は良かったが後半は天候に恵まれず、屋外の観光施設などは影響を受けたようだ。宿泊は前年から増加に転じた」としている。