今年のゴールデンウイーク(GW)は5月1、2日が平日に当たるため、長期休暇が取りにくい日並びだが、景気回復感もあり、国内旅行に出かける人も多そうだ。JTBは「国内、海外ともに極めて好調だった前年並みの人数になりそう」と予想し、「新名所が増えた東京、味わい深い京都、リゾート沖縄が人気」という。主要旅行会社や各地の旅館組合などに今年の動きを聞いた。
旅行会社
JTBによると、4月25日~5月5日のGW期間、1泊以上の国内旅行に出かける人は2148万7千人で、前年同期比100.1%。「後半5連休に旅行が集中した昨年と異なり、今年は前半3連休、後半4連休となり、両方で需要をうまく吸収している」と見る。東京発のエースJTBの予約状況は5月3日が出発のピーク。
「4月が前年比約110%増、5月は約120%増と好調」というのはKNT。旅行期間が短めの商品が売れている。2泊3日の旅行が主流で、「特に都内の高級シティホテルに泊まるプランが人気」。北海道、沖縄といった定番に加え、九州も好調という。
日本旅行は4月が絶好調だが、5月後半はやや不調。それでもトータル116%に。方面別では東北が93%とやや苦戦しているが、その他は軒並みアップ。「首都圏や京阪神はテーマパークやショッピングなどが人気。また、ディスカバーウエストキャンペーンで中四国も好調だ」。
海外旅行に強い阪急交通社だが、GWの国内旅行も170%と大きく伸ばしている。近畿、九州方面が好調。国内、海外とも例年より動きが早いため、「それに合わせた早めの販売が奏功した。国内バス商品の数がほとんど入っていないので、数字はまだ伸びる」と強気だ。
トップツアーは「全体的には微増で推移」との感触。そんな中で沖縄は対前年10%増。北海道は航空会社の供給座席数が増えないこともあって微増にとどまっている。
JALツアーズも日旅と同様の傾向で「4月は130%だが、5月は80%にとどまっている」。5月の日並びが昨年と比べ1日減ったのが響いた。売れ筋商品は「ふらり沖縄」「添乗員が同行するバスの旅(北海道・旭山動物園)」など。
ANAセールスも112%と好調。明確な目的(趣味など)を持って旅行に出る傾向があり、付加価値のある商品が売れている。北海道、沖縄が人気で、「特に沖縄は116%と非常に好調」。地方から首都圏を訪れるプランも104.5%と伸びている。
旅館・観光地
北海道の登別温泉旅館組合は、「前年の方が若干良かったようだ」とやや渋い表情。とはいえ、5月3日はほぼ満室。ほかは比較的余裕があるが、これから埋まってきそうだ。
栃木県の鬼怒川・川治観光協会によると「予約状況は好感触。5月3~5日はほぼ満室の状態。今後前半も埋まってくるのではないか」と見る。間際化が進んでいたが、3~5日に関しては今までよりも予約の出足は早かった。「1、2日を休めば9連休となる日並びの良さと、東武とJRの乗り入れにより、アクセスが良くなったのがいい印象を持たれているのではないか」としている。
群馬県の草津温泉観光協会には「5月3日の問い合わせが多い」。全体的には前年並みの客足を予想している。ブランド力もあり、これから増えてくるのではないか。
「(客足)減少とまではいかないが、右肩上がりとも言えない」とは静岡県の熱海温泉旅館協同組合。「少子化の影響もあるが、旅行先が一極集中ではなく、秘湯などに分散化していることも影響しているのでは」と見ている。
能登半島地震の影響で周辺各地に観光客が流れているとの指摘もあるが、岐阜県の下呂温泉旅館協同組合では「明確なことは言えないが、確かに和倉や七尾からお客さまが流れてきているようだ。ただ、これはあくまで一過性の現象であり、これによる入り込み増については好不調の判断要因にしていない」と冷静に分析する。
「入り込み客数は年末から春にかけて上向いてきている」と手ごたえを感じているのは兵庫県の有馬温泉旅館協同組合。「GWは首都圏、東海、広島エリアなど遠方からの個人客が中心となるが、予約の動きは例年に比べ早く、3月中旬から埋まり始めていた。5月3~5日をピークに、4月28~29日の前半戦にもヤマができ、1~2日(の平日)も好調。問題はGW後のオフシーズンで、その集客策を考えなければ」と気を引き締める。
愛媛県の道後温泉旅館協同組合は「会員旅館34軒の予約は、例年のGW、お盆、正月と同様に早い時期から埋まっている」と話す。GWたけなわの4月28日には松山市に新しい観光施設「坂の上の雲ミュージアム」がオープンする。「司馬遼太郎ファンなど新たな客層への広がりを期待している」と明るい材料が少なくないようだ。
「例年通り、大手旅館・ホテルを中心に予約は好調」というのは大分県の別府市旅館ホテル組合連合会。「施設のリニューアルや新たな宿泊プランを設けた旅館・ホテルが増え始めたことから、今期は単価アップを期待している。加えて、団塊世代などの旅行意欲を踏まえて、オンシーズン前後の動向にも注目したい」としている。