HISは2月29日、次期代表取締役社長に平林朗・取締役情報システム本部長(40)を決めた。鈴木芳夫・代表取締役社長=写真右=と行方一正代表取締役専務は取締役相談役に退く。いずれも4月1日付けに異動予定。経営の中核を若い世代が担うことで、組織の若返りと「新時代で戦略組織」づくりを目指す。
同日会見した澤田秀雄会長=写真左=は今回の異動を「若返り人事」とした上で、「どの産業も30年程度の周期で成長の山を迎え、次の新たなビジネスモデルの構築に移行する。数年後に本格化するであろう業界のグローバル化に先行する意味でも思い切った若返りを図り、新しいシステムや時代の流れの中で戦える組織にする」と説明。平林氏の起用については、各本部長職での改革の経験と実績に加え、明るく元気な性格と海外経験を評価し「現役員の中では最適任」とした。
平林氏は、人事改革を最優先課題に挙げ、決裁権限を下に落とすことで、現行のトップダウン型からボトムアップ型の組織作りを行い、スピード感ある創業期のようなベンチャー型組織を目指すとした。同社のビジネスモデルについては、個人旅行を核にしながらも、インバウンドや国内旅行など同社が今まで積極展開していなかった分野についても見直し、「ゼロからビジネスモデルをつくる」と語った。「旅行業と情報産業の境界がなくなりつつある」とも述べ、新システムの構築や店舗とオンラインの融合などを探っていくことも示唆した。
特に国内旅行に関しては私見としながらも「国内の宿泊施設10万軒のうち、ネットで予約などができるのは2、3万軒。ユーザーの立場から言えば、すべての宿を網羅するシステムがあってしかるべきでは」と述べた。
◎平林朗氏(ひらばやし・あきら)
86年佼成学園高校卒。93年エイチ・アイ・エス入社。04年関東営業本部長、07年取締役関西営業本部長を経て、07年4月から現職。
固く握手を交わす平林氏(中央)と澤田・鈴木両氏