世界のIR(統合型リゾート)オペレーターや関連事業者、IR施設誘致を目指す自治体などが集まる国際会議「ジャパン・ゲーミング・コングレス2019」が5月16・17日の2日間、東京都港区のコンラッド東京で開催された。
国際観光産業振興議員連盟(超党派IR議員連盟)会長で自民党の細田博之衆院議員、同事務局長で自民党の萩生田光一衆院議員らの国会議員も多数出席。細田会長は「日本のIR施設は、日本の国際観光を推進し、国内外の多くの利用者に喜んでもらえる施設でなければならない。より良いIR施設が日本にできるように推進していただきたい」とあいさつした。
17日のセッション「日本のIRにおける地方型IRの受容性」では、博報堂IR・MICE推進室部長の栗田朗氏をモデレーターに、長崎県副知事の平田研氏、和歌山県企画部企画制作局局長の横山達伸氏、北海道苫小牧市総合政策部国際リゾート戦略室長の町田雅人氏が登壇した。
長崎県の平田副知事は「長崎県のIRではなく、九州のIRと捉え、各県と連携し、誘致に取り組んでいる。候補地はハウステンボスに隣接する一般公有地30ヘクタールで、ハウステンボスはIR事業に資本参入しないと表明している。長崎空港の24時間化など交通アクセスの改善を図り、年間1千万人を受け入れ可能な体制を整える計画だ。アジアに近接する立地を生かしながら、IRを起点とした周遊観光コースも提案していきたい」と述べた。
和歌山県の横山局長は「候補地は和歌山マリーナシティの23ヘクタール。IR誘致競争で現在トップランナーである大阪と地理的に近いことが不利だとの指摘を受けることもあるが、相乗効果に期待する声も多い。18年11月の知事選ではIR推進を掲げる仁坂吉伸知事が80%の得票率で4選を果たしており、県議会議員の90%もIRに賛成している。カジノライセンスの有効期間は3年だが、地域の政治体制が安定している和歌山はIR事業者にとっても安心できる候補地なのではないか。和歌山の歴史、伝統、文化そして美しい自然を生かした独自性の高いIR誘致を目指したい」とアピールした。
苫小牧市の町田室長は「候補地は新千歳空港から10分という好立地で、900ヘクタールという広大な敷地面積。北海道のゲートウェイとしてのIR、北海道を丸ごと体験できるショーケース機能を持つIR、北海道ホワイトIRを目指している。地域経済の活性化という観点からも巨大な雇用創出効果を生むIR施設を誘致し、道内全体の観光活性化に生かしたい」と強調した。
日本におけるIR整備を巡っては、昨年7月に特定複合観光施設区域整備法(IR実施法)が国会で成立。IR施設数の上限を全国で3カ所とした。また、今年3月には特定複合観光施設区域整備法施行令(IR実施法施行令)が政府で閣議決定された。IR実施法施行令では、IR内の宿泊施設について、客室の床面積の合計をおおむね10万平方メートル以上とすること、カジノ部分となる「ゲーミング区域」は、IR施設全体の床面積の3%を上限とすることなどを定めた。IR誘致を目指す自治体は今後、公募でIR事業者を選定。整備計画をIR事業者と共同で作成して、国に申請を行う。
IR議連の細田会長
セッションに登壇した(左から)栗田、町田、横山、平田の各氏