JAL、三菱重工と飛行中の被雷回避判断支援サービス「Lilac」の使用契約を締結


 JALは7日、三菱重工と飛行中の被雷回避判断支援サービス「Lilac」の使用契約を締結したと発表した。

 日本航空株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長・グループCEO:鳥取三津子、以下「JAL」)と三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:泉澤清次、以下「三菱重工」)は、航空機の被雷予測を高精度に行うことができる被雷回避判断支援サービス「Lilac(ライラック)」の使用契約を2024年4月2日(火)に締結しました。これにより、パイロットは飛行中でもコックピットから実際に見える雷雲と機上レーダー、アスキーアートレポートを重ね合わせて、到着経路にある発雷の可能性がある雷雲の有無を考慮した到着経路を選定することや、着陸する時間を見合わせることができるようになります。
2024年4月から国内の空港を対象に運用を開始し、より安全な航路を選定することで安全性、快適性を考慮したフライトをお客さまに提供します。

【背景】
航空機の被雷はそのほとんどが離発着時に発生しています。冬の日本海沿岸では、夏に発生する通常の雷に比べて放電エネルギーが何倍も大きく、世界的に珍しい現象である冬季雷が発生することがありますが、気象レーダーに映りづらい特徴があり、雷雲の発生している場所の特定が難しいことから、パイロットはより繊細な航空機の運航を余儀なくされていました。国内での航空機への被雷は年間で数百件発生しており(*1)、機体が損傷することもあります。特に複合素材機であるボーイング787型機やエアバスA350型機は修理過程が複雑であり、修復完了までに長い時間を要すことから、スケジュール遅延による経済的損失を含めると、国内では年間約数億円規模の損失が計上されています。
(*1)第47 回CARATS 航空気象検討WG 会合(2021 年10 月14 日)「被雷危険性予測技術の研究開発」

【被雷回避判断支援サービス「Lilac」】
JALと三菱重工は、機体を被雷から守ることで、安全・運航効率を向上させることを目的に2019年より共同研究を開始しました。研究により、航空機が帯電した雲に近づくことで引き起こされる雷により被雷することが分かってきたことから、JAXAの被雷危険性予測技術の知見を得て、三菱重工が気象庁の配信する最新の観測データを基にAI予測モデルを独自開発し、共同研究を通じて飛行中に被雷の可能性が高い位置を高精度に予測できるようになりました。
また、離着陸時はパイロットの操縦操作が煩雑な時間帯のため、インターネットを使用したWeb用の雷雲イメージを確認することが難しく、必要な時に必要な情報を得ることが困難でしたが、「誘発雷の可能性」の判別が容易なJALと三菱重工が特許技術を取得したアスキーアートレポートを地上運航従事者が機上のインターネット環境に依存しない、既存システムであるACARS(*2)を活用した通信を使用し送付することで、パイロットが必要かつ十分な情報を、一目で把握できる被雷予測を提供することが可能となりました。

被雷危険性予測技術https://www.weather-eye.jp/Research_introduction/detail/43

 

 
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