日本音楽著作権協会(JASRAC、弦哲也会長)は18日、第一ホテル東京(港区)で、長期契約者に感謝状を贈呈するとともに、音楽文化の発展に貢献した個人や団体などを表彰する「第11回JASRAC音楽文化賞」を発表した。長期契約者の対象者485人のうち、代表として花ゆづき(愛媛県・道後温泉)の大木正治社長ら3人に感謝状が贈呈された。
長期契約者表彰はJASRACと30年にわたり利用許諾契約を締結している事業者が対象。飲食店や宿泊施設などでカラオケや生演奏で利用する音楽の使用料は、新たな創作の糧となるよう、作詞者、作曲者などの権利者へ分配している。
感謝状を受け取った大木氏は、「当館のある道後温泉は、今年で本館改築130年を迎えた。年間100万人のお客さまに来ていただける観光地となり、コロナが明け、館内に響き渡るカラオケの音に非常に安堵(あんど)している。うれしさや悲しみ、いろんなことを(音楽と共に)乗り越えていきたい」と語った。
JASRAC音楽文化賞には、久保田麻琴氏、杉並児童合唱団、モントレージャズフェスティバルイン能登実行委員会の3者が受賞した。
モントレージャズフェスティバルイン能登実行委員会が運営する同フェスティバルは、1989年から七尾市内を中心に開催。今年は、元日に発生した能登半島地震で開催が危ぶまれたが、音楽の力で被災者を元気付けようと入場無料にしたほか、出演アーティストも出演料なしで引き受け、開催が実現した。これらの音楽を地域に深く根付かせる継続した取り組みが称えられ、受賞に至った。
同賞は売り上げや利用実績などの数字には表れない地道な活動を行っている個人、団体、作品を対象に、音楽文化の発展に寄与した功績を称える表彰制度。顕彰候補は全国各地の報道機関などから寄せられ、有識者で構成される選考委員会で選考を行う。
弦会長(左)から花ゆづきの大木社長に感謝状が贈呈された