日本旅行業協会(JATA)の主催する「経営フォーラム2011」が15日、会員旅行会社の社長ら約300人の参加者を集め、東京で開かれた。総合テーマ「今創る 旅の新しい価値」のもと、講演やパネルディスカッションなどを展開。そのなかから、日本観光協会会長の西田厚聰氏(東芝会長)が「経済成長と観光イノベーション」について持論を語った特別講演の要旨を掲載する。
■環境変化への対応
「状況の変化にすばやく対応しなくてはならないが、やみくもではだめ。自分たちも共に変わっていかなければならない。私はこれを『応変力』と言っている。応は慧敏に対応すること、変はそれに応じて自らも変わること。応変力をいかに高め続けられるかが、このグローバル化した市場経済のなかで勝ち残っていける大きなかぎになる」。
■広義のイノベーション
「イノベーションを次々と起こす以外に成長を続けることは難しい。イノベーションが成長のエンジンであると経済学的に明らかにしたのはジョセフ・シュンペーター。日本では『技術革新』と訳されるが、元々、彼が言ったイノベーションは、さまざまな要素を新しく結合させること、『新結合』。技術はその1つ。さまざまな産業の課題を解決するためには、もっとこの広義のイノベーションを考えていかなければならない」。
■仕事におけるイノベーションの促進
「身近なイノベーションとしては、ちょっとしたアイデアで仕事のやり方を変えてみる。しかし、新しいことを部下が考えても部長が『それはリスクが高い』『君が責任を持て』とか言ったら、それで終わり。そういう風土ではイノベーションの芽を摘むだけ。では、間違ったらどうする。失敗から学べばいい。風土作りも含めたイノベーションの創出が重要だ」。
西田会長