日本旅行業協会(JATA)の訪日旅行推進委員会(委員長=丸尾和明・日本旅行社長)は2日、観光庁に「訪日外国人旅行 次のステージに向けた提言書」を提出した。次のステージに向けた取り組みとして「訪日旅行における観光の持続的な発展と質の向上」「訪日旅行の地域分散化による地域経済・コミュニティの活性化」「幅広い訪日外国人旅行者全体を視野に入れた戦略の推進」という3点の実現を訴えた。
観光の持続的な発展と質の向上については、「地域における着地型の観光や体験プログラムの開発・プロモーションなどを通じ、訪日外国人旅行者と地域との交流を深化させ、地域における固有の風土や文化などへの理解促進を図って、質の高いリピーター層を拡大していく必要がある」などと提示した。
訪日外国人旅行者の地域分散については、「宿泊施設や運輸機関、観光関連施設だけでなく、農業、漁業、加工業などを含む幅広い地域の産業などの活性化に貢献し、雇用創出などの効果ももたらす。また、外国人旅行者の受け入れを通じたコミュニティの活性化などの効果も想定される」とその重要性を述べている。
全体を視野に入れた戦略の推進では、「訪日外国人旅行者のショッピングによる経済効果に注目が集まっているが、高額の消費を行う旅行者は2千万人のうちの一部に過ぎない」と留意を求めた。
提言項目の部分では、旅行者満足度を高めることにつながる「質の向上」を図っていくうえで、訪日旅行需要の「訪問地域」の分散だけにとどまらず、「ソースマーケット(来てくれる国・地域)」や「訪問時期」の分散も欠かさせないと示した。
訪問地域分散の具体的な策として、日本のおもてなし文化の象徴である旅館の利用も訴え、「稼働率を引き上げることが重要」と主張。「すでに旅館の利用促進に関しては情報発信などの面での施策は検討されているが、これに加え、訪日外国人旅行者を受け入れたことのない地域の事業者向けに、外国人対応マニュアルの配布、セミナー・研修などを実施していく必要がある」と提案した。
MI(ミーティング・インセンティブ)需要の開発や、「安心・安全」を図るための施策なども提言した。