アウトバウンド活性化とハワイ営業担当者増加目指す
日本旅行業協会(JATA)は21日に開いた記者会見で、ハワイ行き団体旅行の販売コンテストを同日付で開始すると発表した。アウトバウンド促進協議会(JOTC)や、米国・ハワイ州観光局日本支社、その関連機関「Meet Hawai’i」(Hawaii Visitors & Convention Bureau、HVCB)と共同で実施する。日本人に人気のハワイをデスティネーションとし、アウトバウンド需要の活性化に加え、ハワイの団体営業担当者を増やす狙い。会社単位でなく団体営業業務経験10年以内の担当者個人を対象に、来年1月31日までエントリーを受け付けている。
今回発表したコンテストは、ハワイ行きの受注型企画旅行・手配旅行(教育旅行は除く)が対象。最低1泊20部屋以上利用することが条件で、旅行出発前にランドオペレーターとホテル間のコントラクト提示(契約日、グループ名、部屋数記載のもの)がエントリーに必須となる。対象期間は、2025年4月1日から同年11月30日の8カ月内での契約、25年6月1日から26年12月31日の1年7カ月内での出発とする。
エントリーは、会社単位ではなく個人が対象。JATA会員企業に所属する団体営業業務経験10年以内の団体営業担当者が対象で、1社あたりのエントリー人数に制限は設けない。社内で複数の応募者がいる場合は、会社ごとに担当窓口を決め、JATAへエントリーする方式とする。担当窓口が出発日や団体名、人数、RN数、ホテル名、担当者名をとりまとめ、JATA海外旅行推進部担当者(j-tanaka@jata-net.or.jp)へ報告をすることで、エントリー完了となる。
選考方法は、団体旅行の獲得回数とルームナイト(RN)数を掛け合わせた数をポイントとしてランク付けを行う。獲得回数が増えていくほど有利になる仕組みで、上位30人が「ハワイ団体営業エキスパート」として選出される(1社当たりの上限人数は5人まで)。ポイントの獲得に加え、選出には来年11月末時点での「ハワイスペシャリスト検定」初級以上の取得・合格も必須要件となる。同検定は、ハワイ州観光局が運営する公式ラーニングサイト「アロハプログラム」で受検できる。
「ハワイ団体営業エキスパート」に選出されると、25年12月ごろに国内で実施予定の表彰式に招待されるほか、報奨ファムツアー(ホノルル往復航空券とホテル3泊)が用意される。ファムツアーは別途案内し、参加者や実施日時は受賞者に限定せず各社にゆだねる想定としている。
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会見の冒頭、JATAの海外旅行推進部の稲田正彦氏が実施する背景について説明。ハワイを訪れる旅行者のうち、アメリカやオーストラリア、カナダがコロナ前の水準に戻っている一方で、日本はコロナ前の半数に満たない状況にとどまっている点について言及し、人気のあるハワイを目的地とすることでアウトバウンド需要を回復させる狙いがあると説明した。
稲田氏は開催の趣旨について、「海外送客を伸ばすほかにも、ハワイに精通した営業担当者を増やすことも目的としている」と説明。コロナ禍で海外団体旅行が激減し、ハワイ方面の営業力を再度強化する必要性について言及した上で、「表彰そのものよりも、今回のコンテストをもとに各旅行会社の中でインセンティブを設けていただきたい。ハワイを訪れた方々の家族がその後にハワイに行くなど、副次的な効果も期待できる」と挑戦を呼び掛けた。
続けて、HVCBアジア・オセアニア地区常務取締役のアンドリュー・コー氏があいさつ。「JATAとの戦略的協力関係のもと、このような団体旅行コンテストを開催できることは、われわれにとっても特別なこと。当コンテストは、日本がハワイを最も重要なデスティネーションとして位置付けていただいている証だと認識している。お客さまや旅行会社の皆さま、上位入賞者の方々をハワイに歓迎し、ますます美しくなったハワイの島々を体験いただけることを楽しみにしている」と期待を込めた。
HVCBは、ハワイ州観光局の関連機関で、主にハワイ諸島への団体企画旅行、コンベンションツアー、インセンティブ旅行などの販売促進を行っている。今回のコンテストではその協力機関として、日本向けに販売促進活動などを担当する。
コー氏とともに同席したHVCB日本地区代表の蜂谷浩之氏は、「日本はハワイ州にとって国際的に最も重要なマーケットだ。2019年までは、日本人がハワイへの渡航者の15%を占めていた。コロナ禍でその数は半減したが、多くの旅行会社のおかげもあり、現在は回復基調にある。この重要なタイミングで、共同で実施できることに感謝したい」とあいさつした。
開催の趣旨を説明するJATA海外旅行推進部長の稲田氏(中央左)と、HVCBのコー氏(中央右)、蜂谷氏(右)